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基礎梁せん断補強筋の施工不備


(マンガ「鉄筋の記録改ざん」はこちらをクリックしてご覧ください)

日本建築検査研究所 岩山健一氏の鑑定意見書

<瑕疵(かし)- 4 : 基礎梁せん断補強筋の施工不備に関する事>
建物西側、地階受水槽室の基礎梁F B 5 A のせん断補強筋( S TP : スターラップ) の間隔は、D 1 3 @ 1 0 0 m m であるが、工事写真では@ 1 5 0 m m で施工されており、せん断補強筋の不足である。図面№ S - 4 : 構造配筋標準図( 1 ) では、日本建築学会「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」に従うことを規定している。「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」で定める梁のせん断補強筋比( あばら筋比) は0 . 2 % 以上であるが、D 1 3 @1 5 0 m m では、せん断補強筋比は0 .1 8 % となり適合しない。よって、図面、並びに構造設計書通りの改善が必要である。


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■岩山健一氏 プロフィール■
一級建築士
株式会社日本建築検査研究所 代表取締役■主な出演番組■
テレビ東京「完成!ドリームハウス」
テレビ朝日「スーパーモーニング」
テレビ朝日「やじうまプラス」
TBS「みのもんたの朝ズバッ」
KTV「痛快エブリデイ」

阪神淡路大震災をきっかけに住宅の欠陥検査に着手。平成10年日本建築検査研究所を立ち上げ、市場における欠陥住宅の発生予防とその解決および紛争の支援を行っている。不動産業者や建設業者等との一切の利害関係をもたない消費者の味方として、これまでに2000件を超える手抜き・欠陥住宅の回復、救済を多数手掛ける。


大阪大学名誉教授 鈴木計夫工学博士の鑑定意見書

基礎梁せん断補強筋の施工不備
(1)地階受水槽室の基礎梁のせん断補強筋が、D13@100mmであるぺきところを、D13@150mmとなって、設計と異なっている。また学会RC配筋指針では、あばら筋比は0.2%以上となっているのに対し、ここでは0.18%となって適合していない。
指針等の規定値はいろいろなケースを考慮してそれらをカバーするべく、安全側の値に決めるのが通例ではあるが、本件の場合100mmを150mmにしたことは、意図的ごまかしであったことが窺がえる(これは左の写真からも十分推測出来る)。他の施工項目においても大同小異であったと考えられる。
(2)対策としては、設計で前提とする地震力におけるこの梁部のせん断力Qとこれによる断面の最大せん断応力土πmax等を算出して、コンクリートの引っ張り強度以上かどうかを確認する。以下であれば、その度合いによって安全性を判断し、以上であればせん断ひび割れが発生するので、鉄筋も含むせん断耐力を検討する
もしせん断補強が必要となった場合は、その部材条件に応じた補強法を採ることになる。この場合も上記3項(2)の但し書きに記載した基礎部分コンクリートの全面的な打ち直しという補修方法を採ることになろう。


■鈴木計夫工学博士 プロフィール■
大阪大学名誉教授
吉林建築工程学院名誉教授
元 福井工業大学教授

(財)大阪建築防災センター
構造計算適合性判定業務 監視委員会 委員長
建築確認検査業務 監視委員会 委員長
日中建築構造技術交流会 名誉会長
(社)日本建築学会 司法支援建築会議 運営委員
大阪地方裁判所(最高裁判所人事) 専門委員
NPO法人 PC建築技術支援センター 理事長
(一社)関西建築構造設計事務所協会 名誉顧問
和歌山県建築構造設計協会 名誉顧問


abarakinhi

鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説2003:17頁
(画像をクリックすると拡大します)



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乙第26号証:構造計算書1375頁
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南海辰村建設株式会社から提出された工事写真
(画像をクリックすると拡大します)


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