詐欺的行為、最終合意図面って何だ?

~ 見積書もない図面が正式な図面であるはずがない ~

本訴訟専用サイトや動画でもお伝えしていますように、大津京ステーションプレイスにおいては異なる4つの図面が存在します。[詳しくは、下図参照]
南海辰村建設は、スペックの高い契約図面で工事請負契約を締結しながら、実際にはスペックの低い減額図面に基づいて工事を始め、工事中さらにスペックダウンした工事を行うことにより、詐欺的行為とも言うべき不当な利益(2億6千万円)を含んだ工事代金を弊社に請求していました。

南海辰村建設は、第一審および控訴審を通じて、契約図面よりスペックの低い減額図面(南海辰村建設が最終合意図面と称する図面)が本件建物に関する正式な図面であると主張しています。
ところで、最終合意図面って一体何なのでしょうか?
通常、建築工事を行う場合は、工事請負契約書に添付されている図面(契約図面)に基づいて工事を行いますし、それで何も問題は起こらない筈です。
それなのに、なぜ本件建物には契約図面以外にスペックの低い減額図面(最終合意図面と称する図面)が存在するのでしょうか。

理由は前述したように、南海辰村建設は、不当な利益を上げるために意図的にスペックの高い契約図面で工事請負契約を締結しておき、契約図面よりスペックの低い工事を行うため、最終合意図面と称するスペックの低い減額図面が必要だったからです。

南海辰村建設は、裁判において自分たちが行った詐欺的行為を正当化するために、本件建物に関して弊社と取り決めた正式な図面は、工事請負契約書に添付されている契約図面ではなく、契約図面よりスペックの低い減額図面(最終合意図面と称する図面)であると主張しているのです。

しかし、南海辰村建設の主張するように本件建物の正式な図面は、スペックの低い減額図面(最終合意図面と称する図面)とするには、かなりの矛盾点や不合理な点があります。

図面の種類が分かりにくいので、ここからは裁判と同じく下記のように図面の種類を表記することにします。

※工事請負契約書に添付されているスペックの高い契約図面──乙9号証

※実際の工事に使われたスペックの低い減額図面(南海辰村建設が最終合意図面と称する図面)──甲133号証

矛盾点や不合理な点について述べますと、まず一つ目は、南海辰村建設は第一審において、「建築確認申請は乙9号証に基づいているが、申請後の行政からの変更の指示に基づきこれに変更を加えたが、本件契約時点ではひとまとめの図面集という形では整っていなかったために、乙9号証に変更が加えられていることを弊社と南海辰村建設は承知の上で乙9号証を契約図面とした」と主張しています。

しかし、本件建物の建築確認を申請したのは平成19年12月24日で、確認済証が交付されたのは平成20年1月22日です。弊社と南海辰村建設が乙9号証を契約図面として工事請負契約を締結したのは、確認済証が交付されてから約4カ月半経過した平成20年6月6日のことです。
南海辰村建設は、建築確認が下りてから契約まで4カ月半もの期間があったにもかかわらず「ひとまとめの図面集という形では整っていなかったために、乙9号証に変更が加えられていることを弊社と南海辰村建設は承知の上で乙9号証を契約図面とした」といっているのです。
この主張は、かなり不合理で無理があることは明らかです。

2つ目は、南海辰村建設は「乙9号証に変更を加え、弊社から最終図面として指示を受けたのが甲133号証である」といっていますが、甲133号証の作成日は平成20年5月2日となっており、それが事実であれば平成20年6月6日の契約時に甲133号証を正式な図面として工事請負契約書に添付し、正式な契約図面である証として、弊社(大覚)と南海辰村建設および設計監理会社の3者の記名押印を行っておけば問題はなかった筈です。

しかし、甲133号証には3者の記名押印は行われていませんでした。それに対して、乙9号証には正式な契約図面である証として、弊社(大覚)と南海辰村建設および設計監理会社の3者の記名押印が行われています。
この主張についても矛盾点があることは明らかです。


乙9号証には3者の記名押印があるが、甲133号証にはない。
(画像をクリックすると拡大画面が表示されます)

3つ目は、南海辰村建設は「乙9号証から甲133号証への変更に伴い、南海辰村建設は弊社に対し施工費用の増減見積を提出した」と主張していますが、南海辰村建設から弊社に対して、乙9号証から甲133号証への変更に伴う施工費用の増減見積が提出された事実はなく、いつ、どのような文書を提出したというのでしょうか。

本件建物に関する見積書は、乙9号証に基づいて作成されたものが存在するのみで、工事請負契約書にはこの乙9号証に基づいて作成された見積書が添付されています。この見積書に示された請負代金は18億6千万円(税別)であり、これが本件建物の工事請負契約の請負代金となっています。
つまり、甲133号証に基づいて作成された見積書は存在しないのです。見積書が存在しないような図面を本件建物の正式な契約図面とする主張は、かなり不合理で無理があるというべきです。

このように、実際の工事に使われたスペックの低い減額図面(南海辰村建設が最終合意図面と称する図面)=甲133号証が本件建物の正式な図面であるという南海辰村建設の主張には、多くの矛盾点や不合理な点があることは明らかです。

弊社は控訴審において、上述した内容を反映させた準備書面を提出し、本件建物における瑕疵や契約代金および変更合意の有無などについては、工事請負契約書に添付されているスペックの高い契約図面=乙9号証を基準に判断されなければならないと主張しています。

(社員F)

図面による工事費金額比較 (訴訟専用サイトから抜粋)

この件に関しては異なる4つの図面が存在します。
それぞれが作成された時期と工事費の推移を順に追うと、南海辰村建設は意図的に契約時の工事費を引き上げていた事がわかります。 最終的に南海辰村建設は正式な契約図面より総額2億6千万円減額した図面で施工しています。それぞれの図面の性質と図面による工事費を表にして比較しました。

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(画像をクリックすると拡大画面が表示されます) 

(1)【確認申請図面】 ─ 乙25・26号証 ─ 
これから建てようとする建築物が、建築基準法・条例等に適合しているか確認を受けるための図面

平成19年12月24日に確認申請を行い、平成20年1月22日に確認済証が交付された図面。

(2)【減額図面】 ─ 甲133号証 ─ (工事費17億円)
南海辰村建設がこれを基に施工したと主張する図面。

VE(バリュー・エンジニアリング)を反映させたとの主張である。

VE(バリュー・エンジニアリング)とは機能を低下させずコストを縮減すること。
しかし、内容は契約図面より低いスペックの設計・仕様となっている。
本来ならVEであっても施主である弊社の承諾なしで進められるべきものではない。 南海辰村建設は、この図面が最終合意図面と主張しているが、大覚と南海辰村建設の間でこの図面で合意した記録はない。

また、この図面の作成は平成20年5月2日となっており、契約日(平成20年6月6日)にはこの図面は完成していたにも関わらず、南海辰村建設は契約図面として提示しなかった。意図的に契約時の工事費を引き上げていたと思われる。尚、(1)確認申請図面とこの(2)減額図面は、一部異なる部分があるもののほぼ同じスペックである。

(3)【契約図面】 ─ 乙9号証 ─ ;(工事費18億6千万円)
平成20年6月6日に弊社大覚と南海辰村建設、双方合意のもとに契約を交わした図面

契約図面である証として、大覚と南海辰村建設及び設計監理会社の3者が記名押印を行っている。
また、本件の請負契約書に添付されている見積書もこの図面に基づいて作成(見積金額18億6千万円)されている。

(4)【竣工図面】 ─ 乙21号証 ─ ;(工事費16億円)
竣工した建物を正確に表した図面

南海辰村建設が基にしたとする減額図面(甲133号証)よりも更に減額した図面となっている。

(作成日は平成21年11月)

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