テレビ報道に関する南海辰村建設HPのコメントについて

先日、大津京ステーションプレイスの欠陥マンション問題が読売テレビやフジテレビで報道されたことに関して、南海辰村建設は自社のホームページにおいて、平成26年9月18日付で「先日の当社施工物件に関する一部報道について」と題するコメントを掲載しています。

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コメントの中で南海辰村建設は、これまでの自社ホームページでのIR情報や種々の文書と同様に、同社における行為と対応が正当であるかのような記述を繰り返し述べています。

今回は、コメントの中の記述が南海辰村建設の独自な判断によって、同社の行為と対応がいかにも正当であるかのように掲載されていることについて、大きく4つの要点にまとめてお伝えしたいと思います。

「本件マンションの施工に当たっては、設計監理会社の設計図面と指示の下に工事を進めてまいりました。」について

本件マンションの工事に使われていた設計図面は、契約図面ではなく契約図面よりスペックダウン(仕様が低い)された設計図面が使用されていました。また、契約図面には工事見積書がありましたが、実際の工事に使われていた設計図面には工事見積書はありませんでした。

南海辰村建設は、工事見積書もない設計図面を弊社と設計監理会社が承認して、その設計図面どおりに施工するように指示したとでも言いたいのでしょうか。

控訴審において、弊社は南海辰村建設に対し、弊社や設計監理会社が契約図面よりスペックダウンされた設計図面で施工するように指示したと言うのであれば、そのような記載のある指示書を提出するように求めていますが、南海辰村建設から指示書等の書面は提出されていません。

詳しくは、ブログ記事「詐欺的行為、最終合意図面って何だ?」をご覧ください。

「行政による建築確認検査済証も受けており、竣工時には特に問題となる箇所はございませんでした。」について

本件マンションの屋上には、建築確認申請書にない約250トンにもおよぶ余分なコンクリートが打設されています。(このことは第一審でも認められています)本来であれば、建築確認申請書にない約250トンにもおよぶ余分なコンクリートを打設する場合、建築確認申請の再申請を行い、構造上の強度が安全であることを確認したうえで施工しなければなりません。

しかし、本件マンションの場合、屋上に約250トンにもおよぶ余分なコンクリートを打設することについて、建築確認申請の再申請は行われていませんでした(建築基準法第6条違反)。また、JIS規格外のコンクリートの使用についても国土交通大臣の認定を受けていませんでした(建築基準法第37条違反)。

つまり、南海辰村建設は、上述したような違法行為を秘匿して建築確認検査済証を取得しているのです。言いかえれば、行政をも欺いて建築確認検査済証を取得しておきながら、その欺いた行為により得た建築確認検査済証を自らの正当性を示す「証」として、IR情報や自社ホームページに掲載しているのですから、極めて悪質な企業と言わざるを得ません。

「第一審の裁判中に行われた第三者による構造計算においても、当社として建物の安全性に問題がないことを確認しております。」について

第一審判決後の調査によって、本件マンションの基礎コンクリートの打継部が一体化していないこと(バラバラの基礎)や新たな耐震スリットの不備などが発見されています。

特に基礎コンクリートの打継部が一体化していないこと(バラバラの基礎)については、多くの有識者や専門家から構造耐力の低下を招く重大な瑕疵(欠陥)であると指摘されています。

南海辰村建設の言う「第一審の裁判中に行われた第三者による構造計算」には、上記のような第一審判決後の調査によって、新たに発見された瑕疵(欠陥)は、構造計算内容に反映されていません。また、南海辰村建設の言う「第一審の裁判中に行われた第三者による構造計算」は、都合のいい安全な計算結果となるように計算内容が意図的に操作されていることが専門家から指摘されています。

このように、「第一審の裁判中に行われた第三者による構造計算においても、当社として建物の安全性に問題がないことを確認しております。」という南海辰村建設のコメントは、同社の独自な判断であることは言うまでもありません。

「全体として瑕疵の争点は、大阪地裁において十分に審理を尽くされており、当社の主張が全面的に認められた地裁判決内容を鑑みれば、建物の安全性は明らかと考えております。」について

上記①②③でお伝えしましたように、第一審で十分に審理が尽くされていないからこそ、現在控訴審において再審理が尽くされているところです。再審理する争点がなければ、控訴審の場合すぐに結審すると聞いております。

しかし、控訴審が始まってすでに1年以上経ちますが、構造上の安全性などの重要項目については、本格的な審理はこれから始まるというような進行状況です。

それだけ大阪高裁も再審理を尽くす必要があると判断しているものと思われます。このような状況下において、「大阪地裁において十分に審理を尽くされており、・・・地裁判決内容を鑑みれば、建物の安全性は明らかと考えております。」とコメントすることについて、社会に対して責任ある企業が発するコメントとは到底考えられません。

控訴審において審理中にもかかわらず、「建物の安全性は明らかと考えております。」とコメントすること自体、南海辰村建設はそのように言い切らなければならいやましい事情でもあるのでしょうか。

南海辰村建設に、本件マンションが適正に施工されているという自負があるのであれば、このような独自の判断による無責任なコメントをする必要はないと考えられます。

上述しましたように、南海辰村建設が自社のホームページにおいて、「先日の当社施工物件に関する一部報道について」と題して掲載しているコメントは、自らが行った違法行為やずさんな手抜き工事を隠蔽し、正当化するための虚偽の記述であることはお分かりいただけると思います。

南海辰村建設が、いくら体裁を整えた記述を掲載し、自らの行為を正当化しようとしても、結局はテレビ報道を観た視聴者(世間)の方々が判断することだと弊社は考えています。世間の目はそんなに甘くないということを南海辰村建設はもっと認識すべきだと思います。

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