最近、三菱地所レジデンスの欠陥マンションがニュース番組や週刊誌で報じられ話題になっています。
大津京ステーションプレイスの欠陥調査を行って下さった日本建築調査研究所の岩山健一さんもニュース番組や週刊誌でこの問題についてコメントされていました。
問題になっている欠陥は、スリーブといわれる配管や配線を通すための貫通孔が、設計図どおりに入っていなかったり、位置が間違っていたことです。
しかも、スリーブの入れ忘れた箇所を鉄筋位置の調査もせずに、コンクリートの硬化後、コア抜きをしたため鉄筋が切断されていた箇所もあったということです。
大津京ステーションプレイスの場合もまったく同じケースの欠陥が見つかっています。地下立体駐車場まわりの基礎梁において、スリーブ位置を間違って施工したらしく、コンクリートの硬化後に別の位置にコア抜きがされている貫通孔が10箇所見つかっています。
しかも、三菱地所レジデンスの場合と同じく、事前に既存の鉄筋位置を確認しないままコア抜きを行っているので鉄筋が切断されています。さらに大津京ステーションプレイスの場合、鉄筋が錆びて錆汁が流れているのがわかります(上の写真参照)。
この欠陥については、一審の判決で南海辰村建設の瑕疵工事であることが認められています。
週刊ダイヤモンド(2014年2月8日号)に掲載されている三菱地所の欠陥マンション記事に、あるゼネコン幹部の証言が紹介されていました。その証言によると、「マンション工事なんてもうからないから、ずさんな現場は少なくない。工程の最後で適当に穴開けをしても表面上はわからないから、そのまま竣工することも可能だっただろう」。
つまり、似たような施工がなされるだけでなく、そのまま施主に知らされず引き渡されている危険性すらあるというのです。
実際、大津京ステーションプレイスの場合、南海辰村建設は、スリーブの位置を間違えたうえ、既存の鉄筋を切断するという、とんでもない間違いを二重に犯しておきながら、その事実を隠蔽したまま弊社に引き渡そうとしたのですから・・・。
コメント
[前コメントのつづきです。]
当然のことですが、地震が起きて初めて気が付くようなことになれば、取り返しのつかない人命にかかわるような重大な結果をもたらすことはお分かりになると思います。
本件(大津京ステーションプレイス)の訴訟に協力してくださっている専門家のお話しによると、三菱地所レジデンスのスリーブのコア抜きにしろ、本件のコア抜きにしても鉄筋が切断されているとはいえ、地震が起こらない通常の状態であれば特に何も現象は現れないだろうから、そのまま引き渡され入居していても気付くことはなかったはず。ただ、地震が発生しコア抜きの欠陥とその他の構造欠陥が重なったりすれば、重大な被害が起こる可能性は十分考えられるとおっしゃっていました。
それともう一つ、専門家の方がおっしゃっていたのは、構造の欠陥は本当の専門家が調査機器を使って調べないと分からないということでした。つまり、何か特定の現象でも現れない限り素人の方では、構造の欠陥を見つけることはかなり難しいようです。
ご指摘いただいておりますように、控訴審においては、なぜ南海辰村建設がずさんな手抜き工事を行ったのか追及していく所存です。
SEさん、コメントありがとうございます。
SEさんのように、責任とプライドを持って「もの作り」をされている方々がおられるので、より良い社会がつくられていくのだと思います。
どうして欠陥だらけの建物ができてしまったのか?という疑問についてですが、例えばSEさんのお仕事のようにプログラムにバグがあれば、プログラムの答えが違っていたり、求められているシステムが機能しなかったりと、使い手がすぐ気付くような現象(結果)が現れると思います。
ところが、建築物の場合、耐震性能にかかわるような欠陥というのは、地震が起きた時に初めて現象(結果)が現れるので、何(地震、台風)も起こらない日常生活の中では気づくことは殆んどありません。ですから、このブログで紹介していますあるゼネコン幹部の証言のように「工程の最後で適当に穴開けをしても表面上はわからないから、そのまま竣工することも可能だっただろう」。というような考えが利潤追求を優先させる建設業界には蔓延しているのだと思います。このようなことが欠陥だらけの建物ができる要因の一つだと考えられます。
[文字数制限のため、次のコメントにつづく・・。]
私も、三菱地所さんの欠陥マンションの記事を読みました。私は、長年システムエンジニアをしており、建築のことに関しては、ど素人なのですが、御社の「大津京ステーションプレース」に比べれば、欠陥の度合いは、「かわいいもの」という印象を持ちました。
それなのに(世間への影響度の違いもあるのでしょうが)、かたや販売を中止し、迷惑料まで支払うということで、さすが一流企業と感心しています。
三菱地所さんの場合、欠陥マンションができてしまった原因として、「施工の段階で設計図を『施工図』に落とし込み、すり合わせる過程で、スリーブがなくなった」との見解が書かれていましたが、「大津京ステーションプレース」の場合、どうしてこのような欠陥だらけの建物ができてしまったのか、不思議でなりません。
私達システムエンジニアも、形は違いますが、「もの作り」に携わっており、欠陥(プログラムバグ)を作らない様、日々技術を習得し、納期に追われながらも、繰り返しテスト・検証を行って少しでも完璧に近いものになるよう、努力しています。それでも、欠陥が出た場合には、なぜ欠陥を作り込んでしまったのか、なぜテストで発見できなかったのかを分析し、再発防止策を講じてきました。
同じ「もの作り」に携わる人間として、単に設計/施工業者の技術力不足とは考えられません。考えたくないですが、「わざと」やっているのではないかと思えてきます。
南海辰村建設さんには、どうしてこのような建物を建ててしまったのか、徹底的に原因究明をお願いしたいものです。大覚さんからも追及して下さい。