裁判での二つのすり替え

大津欠陥マンション訴訟は、南海辰村建設が弊社大覚に対し、請負代金請求の裁判を起こしたところから始まります。

 

今回は、手直し工事が済んでいないのに建物の引渡しが完了したことにすり替えられた二つの経緯(いきさつ)について述べたいと思います。

 

裁判になる前に、弊社は南海辰村建設に対し完成していない建物に対して、工事代金を支払うことはできないと主張していました。
そして、前後2回に分けて実施された第一回、第二回施主検査で見つかった1200箇所以上ある手直し工事が完了すれば工事代金を支払うとも伝えていました(弊社訴訟専用サイトで、この手直し工事が施工会社にとって十分に対応できる内容、数であることを説明しています)

 

常識的に考えて、未完成品を納入されて、支払いに応じる企業はないと思います。

● 内覧会によるすり替え

第一回施主検査と第二回施主検査の間に入居者のための内覧会が実施されました(平成21年10月24・25日)。

 

これは入居日が決まっている入居者に部屋のチェックをしてもらうためのものです。

 

お客様が入居予定の部屋の壁紙(クロス)の仕上がりをチェックするなどが行われました。

 

ところが第一審では入居者のための内覧会をもって、共用部を含めたマンション全体の手直し確認が完了したことにすり替えられてしまっています。内覧会が実施された時点では共用部の施主検査は行われていません。また、この内覧会には南海辰村建設の社員と共に弊社の営業担当社員が立ち会いましたが、弊社の検査員は立ち会っていません。

 

● 「建築完了引渡証明書」によるすり替え

 

「建築完了引渡証明書」は施主への建物引渡し完了前であっても、施主と施工者の信頼関係から紳士協定的に施工者が施主に発行するのが業界の慣例です。

 

これは分譲マンション購入に際し、お客様が住宅ローンを組む手続上やむを得ないことであり、業界の慣例に従い南海辰村建設に発行してもらったものです。

 

しかし、南海辰村建設はお客様が登記のために必要だった「建築完了引渡証明書」だけで、建物の完成と引き渡しが完了したことにすり替えて裁判で主張しています。

 

マンション事業者にとって実質的な建物の完成とは、各住居が入居出来る状態にあり、入居者が共用部を使用できる状態にあることです。すなわち、施主検査でみつかった各住居と共用部の手直し箇所を施工者が手直し工事完了させなければ、建物が完成したとは言えないのです。施主は手直し確認後に各住居の鍵を受け取り、これを以って建物の引渡しが完了したことになります。

 

南海辰村建設は新築分譲マンションの契約手続きの性質を利用して上記のすり替えを行いました。

 

今、改めて当時のことを思い起こしてみますと、弊社は最初から南海辰村建設の巧みな罠に嵌められていたのではないかとさえ思えてきます。

 

未入居の49戸分の鍵は現在に至るまで受け取っていません。当然、引き渡しも受けておりません。

 

真相を明らかにするために、弊社は上記の二つのすり替えについても追及していきます。

(社員O) 

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