大津京ステーションプレイスの控訴審において、本件建物の基礎梁には、あばら筋と呼ばれるせん断補強筋に施工不備があることが明らかになっています。
今回は、この基礎梁せん断補強筋の施工不備に関して、南海辰村建設が偽装工作を行い隠蔽していたことについてお話したいと思います。
基礎梁せん断補強筋の施工不備（瑕疵）について説明しますと、地下受水槽室の基礎梁ＦＢ５Ａのせん断補強筋の間隔は、設計図では１００ｍｍであることが要求されていましたが、実際には１５０ｍｍの間隔で施工されおり、設計図および確認申請時の構造計算書に反するというものです。
したがって、設計図および確認申請時の構造計算書通りに改善する必要があります。
このことだけでも重大な問題でしたが、さらに問題だったのが、南海辰村建設は、間違ったせん断補強筋の間隔で施工したことを隠蔽するために、工事記録写真に写す黒板の記入間隔を書き換えて偽装していたのです。
このような南海辰村建設による悪質な隠蔽工作は、絶対に許されるものではありません。
弊社は、上述したようなことを踏まえて控訴審において下記のように主張しています。
［控訴審 第３準備書面より抜粋］
「さらに極めて問題なのは、図面や構造計算とは異なる配筋間隔を隠蔽するために写真に写る黒板の数値が書き換えられていたことである。
このように被控訴人南海辰村は、施工の瑕疵などの手抜き工事が明らかになるのを避けるために悪質な隠蔽工作ないしは偽装工作を行っているのである。
かかる被控訴人南海辰村の悪質な施工とその隠蔽体質からすると、本件の基礎梁せん断補強筋の瑕疵も上記写真に写った部分のみに限定されると考えることは到底できない。他の同様の箇所においても同様の施工の瑕疵があると強く推認できるのである。したがって、他の箇所の施工の瑕疵の存否を明らかにするために基礎梁にかかわる箇所だけでなく施工中に撮影した全ての写真（全ての梁および全ての柱の写真）を被控訴人南海辰村は開示しなければならない。仮にこれを被控訴人南海辰村が拒むのであれば、他の箇所の全てにおいて同様の施工の瑕疵が存在するものと推認されてもやむを得ないというべきである。」
上記、第３準備書面の記述にもありますように、南海辰村建設による悪質な偽装工作が明らかになった以上、弊社としては、本件建物には他にも同じような隠蔽が行われているのではないかと疑わざるを得ません。
仮に、偽装工作が明らかになった基礎梁以外は、適正に施工されているというのであれば、南海辰村建設は速やかに全ての工事記録を提出すべきです。
弊社は、平成２５年１１月２５日付の控訴審第１準備書面においても本件建物工事にかかわる工事写真、施工図、報告書等の提出を求めていますが、未だに南海辰村建設は提出しておりません。
南海辰村建設は、南海辰村建設の控訴審準備書面（１）において「２. 被控訴人は、原審において送付嘱託に応じ、躯体工事配筋写真（２分冊）、コンクリート工事写真、杭工事施工写真、機械設備・電気設備施工写真、施工図（Ａ１サイズ一式、Ａ３サイズ一式）、ジャンカチェックリストを提出した。（甲第１５８号証）」と主張していますが、上記資料を提出した後にも南海辰村建設は、上記資料にない新たな工事写真を別の瑕疵に関する反証として提出しています。
つまり、南海辰村建設は原審（第一審）において、工事写真等の資料を提出したと主張していますが、施工不備等のずさんな手抜き工事が明らかになることを避けるために、未提出の工事写真等の資料を秘匿していると言わざるを得ないのです。
ちなみに、南海辰村建設は、南海辰村建設の控訴審準備書面（２）において「４. 控訴理由書第４章第１の５ 基礎梁せん断補強筋の施工不備（同４３頁） （１）控訴人指摘部分について 補修費用は、９，８０５，７６３円となる（甲第１６８号証２丁目） （２）ウォータージェット水斫り工事により甲第１６８号証５丁目の手順となる。当該工法の概要は、甲第１６８号証添付資料２の１のとおり。施工例も示されている。資料２の２、２の３は水道料金、下水道料金計算の資料。」と基礎梁せん断補強筋の施工不備（瑕疵）を認めており、補修費用９８０万５７６３円とその補修方法も提示しています。
しかし、南海辰村建設の補修方法には問題があるので、弊社で再度検討したところ、補修費用および補修工事中における居住者の転居費用等を合わせると合計６４８７万４０５８円が必要であることを控訴審第３準備書面で主張しています。
弊社は、今回お話しましたような南海辰村建設の隠蔽体質を追及し、大津京ステーションプレイスにおけるずさんな手抜き工事の全貌が解明されることを強く望んでいます。
お話しました南海辰村建設の悪質な偽装工作および隠蔽体質について、この記事をご覧になった方々はどのように思われるでしょうか。
（社員S）
