訴訟開始から7年、いまだに「瑕疵はない」と言い続ける南海辰村建設 エピソード11 (住民の生命と財産に関わる「建物の安全性」を軽視し、利益を追及する2つの企業)

エピソード11 (住民の生命と財産に関わる「建物の安全性」を軽視し、利益を追及する2つの企業)

以前、「住民が置き去りにされている」という表現で、マンション事業主である弊社大覚が、マンションの欠陥問題で困っている住民の方々に対して何ら対応していないかのようにテレビで放送されたことがありました。取材を担当した記者は「マンション事業主(大覚)と施工会社(南海辰村建設)の裁判は、住民の方々にとってはどうでもいい話なんです」と説明していました。おそらく、この記者は弊社と南海辰村建設の本件建築トラブルを住民の視点で伝えたいという意図があり、住民の怒りの矛先を売主である大覚に向けさせるという極めて単純な図式にして番組を作成したものと思われます。
 
しかし、本件マンションの瑕疵をめぐる弊社と南海辰村建設の訴訟は、マンション住民の方々にとって「どうでもいいこと」などでは決してありません。施主である弊社が南海辰村建設のずさんな施工による数々の瑕疵や、減額工事、契約違反を裁判で立証しなければ、本件マンションを本来あるべき形である、住民の方々にとって安心して住める安全な建物にすることはできません。弊社はこれまで、専門家らの調査によって本件マンションに耐震構造に関わる重大な欠陥が見つかった際に、すぐに住民説明会を開いて建物の問題点について説明し、希望者にはマンション売買契約を解除し、代金を返還しました。その後も、マンション管理組合の方々に協力をお願いし、マンションの調査を続けています。
 
南海辰村建設に仮差押えられていた49戸の未入居住戸が第一審判決の仮執行というかたちで2年前に強制競売にかけられ、そのうち36戸を落札した不動産会社T社が、昨年、マンション管理組合を大津地裁に訴え、現在も裁判は続いています。
 
強制競売が終了し、不動産会社T社が本件マンションの区分所有者になった当時、管理組合はT社に対して管理組合に加入する手続きとして、T社が区分所有者になる以前の未納管理費と未納修繕積立金、および修繕積立一時金の支払いと合わせて、管理規約を交付すると告げていました。それにも関わらず、T社は「管理規約を交付してもらえず、管理組合員としての地位が認められていない」として、昨年、大津地裁に管理組合を訴えました。さらに、「滞納管理費、滞納修繕積立金を支払う義務はない。(T社の落札した)住戸を正常な価格で賃貸することや転売することが困難になっているのは、管理組合に妨害されているからだ」と主張し、落札した36住戸分の1ヶ月あたりの賃貸相当合計額を423万8千円として損害賠償を支払うよう求めてきました。
 
管理組合の方に聞くところによると、T社が区分所有者となったことによって管理組合員の地位はすでに取得しているのであり、管理組合がT社の管理組合員の地位を認めないなどということはなかったということです。その後、管理組合はT社に管理規約を交付しましたが、T社は依然として滞納管理費、滞納修繕積立金、修繕積立一時金を支払わず、区分所有者となって以降の管理費、修繕積立金も支払うことはありませんでした。
 
昨年の5月、管理組合は、本件マンションの瑕疵の現状、および管理組合が訴えられているという事実を伝える目的で、マンションの出入り口、掲示板、1階ホール、エレベータ内などマンション内の各所に掲示物を貼り出しました。その2か月後、T社はこれらの掲示物によってT社の落札した物件を賃貸したり転売することが妨害されているとして、大津地裁に掲示物撤去仮処分の申し立てをしました。
 
「妨害されている」と言う一方で、T社は「裁判(第一審)で建物に瑕疵はないという判決だったので、このマンションは何の問題もない建物である」として競売落札した住戸を賃貸に出し、多くのインターネットの賃貸物件情報サイトで入居者の募集をしています。既に複数の賃貸契約者がT社の落札住戸に入居していると聞いています。これらの入居者のほとんどは、本件マンションの建物としての問題点や数多くの不具合、現在瑕疵をめぐって係争中であることなどを知らされないまま入居しています。
 
そのような入居者が増え続けることをマンション管理組合は問題視し、上記のような掲示物を貼り出して、弊社と南海辰村建設の裁判をずっと見守ってきた管理組合員にはマンションの現状を伝え、新たに本件マンションに入居された方、または入居を検討されている方に対して、建物の各所に存在する不具合によって事故に遭うことのないように注意を呼びかけました。
 
ところで、昨年の10月、大津京ステーションプレイスの欠陥問題が多くのテレビ番組で放送された時のことです。番組放送後、その番組を制作したテレビ局の担当者が、番組で放送した本件マンションの不具合について事実確認をするために弊社を訪れました。
その担当者の話では、ある視聴者から苦情が寄せられており、放送された映像にある欠陥は第一審判決では瑕疵と認定されていないものであるから瑕疵ではなく、放送内容に虚偽があるというものでした。
 
その映像というのは、本件マンションの屋上防水施工に不備があることを確かめるため水張り試験を行った際、最上階の14階室内に大量に雨漏りが発生した時のものです。この水張り試験は、第一審判決後、屋上防水の欠陥を立証するために実施したものであり、弊社は裁判所に証拠書類を提出し、控訴審において審理されています。
 
第一審判決では瑕疵と認定されていないものであるから瑕疵ではないという論法は、「裁判(第一審)で建物に瑕疵はないという判決だったので、このマンションは何の問題もない建物である」と言って、落札住戸を賃貸に出しているT社と重なります。
 
以下に、屋根防水に関して、建物調査に協力していただいている日本建築検査研究所の岩山健一氏の鑑定意見書を紹介します(抜粋)。
 
「本件聞き取り調査により、14階1404号室前の開放廊下天井スラブ排水ドレイン廻りで漏水が発生した為、屋上に水張り試験を行った所、防水層の下面に水が浸入し、階下に漏水したとのことである。これらは、屋根防水層に不良があることが明らかである。特に、請負会社は屋根防水完了時に水張り試験を行ったなどと主張しているが、検査方法並びに施工がずさんであると言える」。

 
未だに「瑕疵はない」と言い続ける南海辰村建設と、競売落札した住戸に瑕疵のない賃貸物件として入居させているT社はやはり繋がっているのではないかと弊社には思えてきます。
 
最近の控訴審において、上述したT社の言動と重なる様に、南海辰村建設側の弁護士の一人が裁判官に次のような意見をしていました。
 
「大覚は一審で審理していない事を控訴審で取り上げようとしていますが、如何なものでしょうか?」
 
「住民の生命と財産に関わることですので、裁判で取り上げないということはありません」と、裁判長はきっぱりと返答しました。
 
 
問題のある物件を36戸も破格の金額で落札し「安全性に問題はない建物」と言って莫大な利益を得ようとする不動産会社T社にしても、ずさんな手抜き工事、契約違反の減額工事、法令違反を繰り返して危険なマンションを建てておきながら「瑕疵はない」と言い続ける南海辰村建設にしても、住民にとって最も大切な「建物の安全性(生命と財産を守る)」という認識は、持ち合わせていないのでしょうか。
 
本件とは直接関係のない裁判ですが、3月9日、大津地裁は福井県高浜原子力発電所3、4号機の運転差し止めを関西電力に命じる仮処分決定をしました。この仮処分は、大地震などで原発事故が起きれば、放射性物質が琵琶湖を汚染し、生命に危険が及ぶとして、滋賀県の住民が高浜原発の運転差し止めの仮処分命令を大津地裁に申し立てていたものです。
 
大津地裁は「原発の安全性確保について、関西電力は説明を尽くしていない」ことを決定理由の一つに挙げています。
 
大津京ステーションプレイスの安全性(住民の生命と財産を守る)に関して、「安全性に問題はない建物」と言っているT社にしても、「瑕疵がない」と言い続ける南海辰村建設にしても、その根拠について、説明を尽くしているとは、到底言い難いと弊社は考えます。

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コメント

  1. 匿名 より:

    日本の司法どうなってるん

  2. くわちゃん より:

    YouTubeからここにたどり着きました。
    負けずに頑張ってください。
    こんなことがまかり通る世の中は許せないです。

    良識のある裁判長に当たることを心から祈っております。

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