本件建物調査により、A通り基礎梁のFG3,FG3A、FG4は、柱際で鉛直打継ぎを行っていることが確認できる。また、打継ぎ部には、ひび割れ状のすき間があり、コンクリートが一体化されていない。
本件建物の基礎構造は杭基礎である為、基礎梁は杭頭応力を伝達する重要な構造体である。特に柱際の一体化不形成の部分は、基礎梁としての軸力、及びせん断力の伝達能力を損ねている。
尚、上述の条件で構造計算を行った結果は、保有水平耐力が必要保有水平耐力を満たさない。(Qu/Qun検定比、1階X方向0.49)また、柱、梁主要構造部の部材強度の不足も多数確認できる。
よって、基礎梁と柱接合部のコンクリートの一体化を改善しなければ建物は危険な状態である。
当該基礎杭P2、及びP4が負担する短期軸力は、約2800t~2100t。杭頭曲げモーメントは、800t/m~700t/mである。(甲第138号証1117~1121頁)よって、基礎梁は、これらの曲げ、及びせん断応力に対し、安全な状態に改善しなければならない。但し、改修工事期間中に発生する地震などを考慮した場合には、改修工事は非常に困難であると考えられる
■岩山健一氏 プロフィール■
一級建築士
株式会社日本建築検査研究所 代表取締役
■主な出演番組■
テレビ東京「完成!ドリームハウス」
テレビ朝日「スーパーモーニング」
テレビ朝日「やじうまプラス」
TBS「みのもんたの朝ズバッ」
KTV「痛快エブリデイ」
阪神淡路大震災をきっかけに住宅の欠陥検査に着手。平成10年日本建築検査研究所を立ち上げ、市場における欠陥住宅の発生予防とその解決および紛争の支援を行っている。不動産業者や建設業者等との一切の利害関係をもたない消費者の味方として、これまでに2000件を超える手抜き・欠陥住宅の回復、救済を多数手掛ける。
・コンクリート打設は一層一回打ちが原則であり、これが出来ない場合の打ち継ぎは垂直にするのが常である。しかるに、本件建物では斜め水平の打ち継ぎ線が2本も明確に示されている箇所が数多くある(本来この境界部はバイブレータで一体化されるべきものである)。
・地下部において柱と地下外周繋ぎ梁(地中梁)との境界部に隙間があり、一体となっていないところが何か所もある。
■鈴木計夫工学博士 プロフィール■
大阪大学名誉教授
吉林建築工程学院名誉教授
元 福井工業大学教授
(財)大阪建築防災センター
構造計算適合性判定業務 監視委員会 委員長
建築確認検査業務 監視委員会 委員長
日中建築構造技術交流会 名誉会長
(社)日本建築学会 司法支援建築会議 運営委員
大阪地方裁判所(最高裁判所人事) 専門委員
NPO法人 PC建築技術支援センター 理事長
(一社)関西建築構造設計事務所協会 名誉顧問
和歌山県建築構造設計協会 名誉顧問 |