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 訴訟の流れ  

 

●契約前の問題点

当初、某大手不動産会社(T社)と大覚の共同事業(T社が建築を、大覚が販売を担当)でマンション事業を行っていた。しかし、T社の都合により、両社は共同事業を白紙に戻した。

●平成20年6月6日 本マンション請負契約を締結

●平成21年10月~11月 施主検査を2回実施
(第一回:10月13・14日、第二回:11月26・27日)

●平成21年10月21日 南海辰村建設より「建築完了引渡証明書」を受け取る

  • 業界の慣例として「建築完了引渡証明書」は施主への建物引渡し完了前であっても、施主と施工者の信頼関係から施工者が施主に発行されている。これは分譲マンション購入に際し、お客様が住宅ローンを組む手続上やむを得ないことである。しかし、南海辰村建設はお客様が登記のために必要だった「建築完了引渡証明書」だけで、建物の完成と引き渡しが完了したことにすり替えて主張している。
  • 南海辰村建設は新築分譲マンションの契約手続きの性質を利用してすり替えを行った。

●平成21年10月24・25日 内覧会実施

  • 入居日が決まっている入居者に部屋のチェックをしてもらうために内覧会を実施
  • 南海辰村建設は第一審で、入居者のための内覧会をもって、共用部を含めたマンション全体の手直し確認が完了したことにすり替えて主張している。しかし、内覧会が実施された時点で第一回施主検査の手直し確認はされていない。またこの時点では第二回施主検査も実施されていない。
  • 南海辰村建設は新築分譲マンションの契約手続きの性質を利用してすり替えを行った。

●平成21年11月13日 59戸の部分的仮引渡し

  • 建物全体の検査・手直しが不十分なまま、「仮引き渡し」という形で入居者が決まっている59戸の鍵を受け取る。
    (施主検査でみつかった各住居と共用部の手直し箇所を施工者が手直し工事完了させなければ、建物が完成したとは言えない。通常であれば、施主は手直し確認後に各住居の鍵を受け取り、これを以って建物の引渡しが完了したことになる。)
  • 現在に至るまで弊社は残りの49戸分の鍵を受け取っていない。当然、引き渡しも受けていない。
  • 電気室、駐車場、その他共用部は未だに検査が行われていない。

●平成21年12月 南海辰村建設に手直し工事を行うように要求、また解決に向けた話合いを何度も呼びかけたが、応じることはなかった

  • (12月4日) ・第一回、第二回施主検査の手直し工事が行われないまま、南海辰村建設は弊社に請求書を持参してきた。
  • (同 日)  ・弊社は南海辰村建設に手直し工事が終わっていない未完成の建物の請求書は受け取れないと伝え、再度、手直し工事を行うように要求した。
  • (12月7日) ・南海辰村建設側の代理人(弁護士)より「請求書」が郵送で届く。弊社は相手方代理人へ返送した。
  • (12月10日) ・南海辰村建設の役員2名が来社し、「建物は完成している」と主張し、契約通りの支払いを請求してきた。
  • (同 日)  ・弊社は「手直し工事が全くされていないので建物は完成していない」、「契約通りにお支払いすることが出来ない」と伝えた。また、問題解決に向けて再度「手直し工事に関して話合いの場を設けましょう」と呼びかけた。
  • (12月14日) ・南海辰村建設の役員より「支払いするお金が無いなら、残りの住居を買取りましょうか」 と電話で伝えてくる。
  • (12月15日) ・弊社は「お支払いするお金の用意は出来ています」、「話合いの場を設けてもらい、早く手直し工事をしてください」と伝えた。
  • (12月18日) ・南海辰村建設より以下の内容の手紙が届く

 

<南海辰村建設 手紙内容>

  • 全戸の引き渡しは完了した。
  • 入金後に手直し工事の相談に応じる。
  • 瑕疵(かし)はない。
  • 工事代金の保全策として残り49戸を南海辰村建設が買い取らせてもらう。
  • 12月28日までに入金がなければ、裁判を起こす。

 

<大覚の主張>

  • 1350箇所の手直しが未完了である。
  • 手直し完了後に代金を支払うことが通常の取引である。
    その後の調査で耐震構造上の重大な瑕疵が見つかる。
    残高証明を南海辰村建設の弁護士、裁判所にそれぞれ提出し、弊社に支払能力があることを伝える。
  • 何度も話し合いの場を設けるよう南海辰村建設に呼びかけていた。
  • 手直し工事は未完了であり、全住戸の鍵も受け取っていない。工事請負代金の増減の話もされずに入金を求めることは通常の取引ではありえない。まして話し合いもせず裁判に持ち込むなど到底考えられない。
  •  

  • (12月21日) ・弊社は南海辰村建設社長宛に【事態の早期解決のご努力をお願いする】手紙を送る。
  • (12月23日) ・南海辰村建設から再度請求書が届く。手直し工事が行われておらず、建物が完成していないのに、完成引渡し後の翌月分、完成引渡し後の3ヶ月後分、オプション工事の請求書が送られてきた

●平成22年1月7日 南海辰村建設が請負代金請求の訴訟を提起

  • 弊社は再三再四にわたり、事態解決の話し合いを南海辰村建設に申し出ていたが、南海辰村建設は一切応じることなく、請負代金請求訴訟を提起してきた。
  • (1月14日)南海辰村建設が弊社の所有する複数の不動産(無担保)の仮差し押さえをする
  • 本来なら、訴訟物件である大津京ステーションプレイスだけ仮差し押さえすれば十分残支払額は確保されている。しかし、弊社のその他の物件まで仮差し押さえをされた。そのため、弊社は計画していた新規マンション事業2案件を断念せざるを得なくなった。この行為は大企業による中小企業への経済的圧力に他ならない。

●平成22年8月 第三者の専門家による調査から耐震構造上の重大な欠陥が見つかる

●平成22年9月~11月 2回の住民説明会と合意解除

  • 第1回説明会でマンション入居者に対して説明会を開き、耐震構造の安全性について重大な問題があることを伝える。
  • 南海辰村建設に説明会への出席を申し出ていたが、南海辰村建設は出席もせず、その後も対応はなかった。
  • 施工者である南海辰村建設が説明会に出席していないことに対してマンション入居者から不満の声があがる。
  • 第一回説明会で問題となったのは売買契約の解除と代金の返還についてだったが、結論は出せず、改めて説明会を開くことにした。
  • 第一回説明会後、住民からの電話問い合わせ、来社が増え、社員は対応に追われる。騒ぎが大きくなる前に何らかの対応をすべきとの声が社内であがる。
  • 連日連夜に渡り社内で議論を重ねた結果、希望者に対し売買契約の解除及び売買代金の返還に応じることにした。本来、買い戻しをする法的義務はなかったが、弊社は地元密着の企業であることからお客様に対する道義上、お客様の要望に応じることで事態を収拾する決断をした。
  • 約1ヶ月後の第2回説明会において、弊社は希望者に対し売買契約の解除及び売買代金の返還に応じることを伝えた。
  • 次々に買い戻し希望者が現れ、現時点で27件の合意解除が行われている。その総額は約7億円にも上る。

●平成23年2月 南海辰村建設に対し反訴を提起

  • 建物に重大な欠陥があるため、南海辰村建設に対し反訴を提起する。

●平成25年2月 第一審判決

  • 判決では一部の欠陥は認められたものの、到底納得のいく判決は得られなかった。
  • 第一審控訴中に裁判官と裁判所の専門委員、南海辰村建設立ち会いの上、現地検証が行われており、「屋上コンクリート増し打ち」、「構造スリットの不備」、「地下ピットの漏水状況(当時累積で1m50cm)」を確認したが、判決は弊社の主張する「建替え」にはならなかった。
  • 現地検証で地下ピットに漏水して溜まっている水を見て、南海辰村建設の所長は「管理会社のメンテナンスが出来ていないから水が溜まっている」とその場しのぎの主張をしていた。

●平成25年2月 第一審判決が不当であるとして控訴審におよぶ

●平成25年9月  ずさんな工事が原因で台風18号により防風スクリーン落下事故が発生

●平成27年9月15日 裁判官が現地見分に来る

  • 基礎部のコンクリート打継ぎ部について、大阪高等裁判所の裁判官、専門委員の立会いの下、大覚側、南海辰村建設側がそれぞれ打継ぎ部のコンクリートコアを抜き取り、打継ぎ部のコンクリートが一体化しているかどうかを検証した。
  • 南海辰村建設側は基礎部の水平打継部4本のコンクリートコアを抜き取ったが、4本とも打継ぎ部で分離した。
  • 大覚側は基礎部の水平打継部3本、鉛直打継部2本、各階床面の打継部2本および屋外階段部2本の合計9本のコンクリートコアを抜き取ったが、9本全てが打継ぎ面から分離した。

 


 

 問題点  

 

●第一審専門家の不可解な行動

(マンガ「専門家の不可解かつ非常識な行動」はこちらをクリック)

・第一審弁護士に紹介してもらった建築構造の専門家Y氏は、大阪地方裁判所の専門委員をしていました。
Y氏は自身について「私が大阪地裁の専門委員の中で一番建築構造に詳しい。他の専門委員は構造のことは殆んど分かっていない」と言っていました。

・後に分かったことですが、専門家Y氏は、弊社の訴訟相手である南海辰村建設と接点を持っている人物でした。
大阪市内のある病院施設は専門家Y氏が工事監理を担当し、南海辰村建設が工事を請負っていました。

・南海辰村建設と接点を持っていたY氏は第一審訴訟中に自らの言動に対して、つじつまの合わないことを言い出しました。

Y氏:「屋根に約350トンもの余分な増し打ちコンクリートが打設されていて、屋根に350トンもの余計な荷重が載っていたら、建物が耐震強度不足になるのは間違いないので、本件建物を建て替えなければならない」

     ↓

その後、実際の増打ち重量は約250トンであり、「約350トンもの余分な増し打ちコンクリートが打設されている」というのは専門家Y氏の調査ミスだったことが判明

     ↓

Y氏:「屋根の余分な増し打ちコンクリートが約250トンだったとしても、耐震スリットの欠落や不良箇所が2~3箇所でもあれば、本件建物は耐震強度不足(構造NG)となる」

     ↓

Y氏の指摘により再調査した結果、耐震スリットの欠落や不良箇所が17箇所も発見された。

     ↓

耐震スリットの欠落や不良箇所が17箇所発見されたので、本件建物の構造計算を再検討してもらったところ「耐震スリットの不備(欠落や不良)がかえって建物強度を強くして
構造NGにはならない」などと予想外の理解困難な答えが返ってきた。

 

 ・第一審時に「建替えだ」と主張していたY氏は、第一審判決後、「この訴訟は初めから和解案件だと言っていた」と正反対のことを言ってきました。

 ・現在、調査の結果、クラック、ジャンカが300箇所、耐震スリット不備が80箇所あることが判明し、控訴審で主張しています。

 

※専門委員制度とは、専門訴訟において、その専門分野の豊富な知見を有している専門家(専門委員)に訴訟手続への関与を求め、専門委員が争点整理等の手続に際し、裁判官や当事者に対して公平・中立なアドバイザーの立場から、その事件において争点となっている専門的技術について説明等を行うものです。

 


・第一審専門家についてのブログ記事はこちらをクリック)

 

●第一審での弁護士選びの誤り・反省点

(マンガ:「弁護士選びは気をつけてね!」はこちらをクリック)

・第一審訴訟で弊社は弁護士の指導・方針に従い過ぎました。第一審弁護士は、常日頃、「自分が船頭だから船頭の言うことに従ってください」、「病気のことは医者が一番わかっている(裁判のことは弁護士が一番よくわかっているのだから、依頼人は弁護士に従っていればよいという意味)」、「相手方から反論が無いから裁判には勝てます」と言っていました。

 

・第一審訴訟において弊社は相手の間違った主張に対して事実関係を調査し、証拠を揃えて陳述書を作成し、南海辰村建設に反論するように依頼したところ、第一審弁護士からは「論点がずれる」、「そんな細かいことはいい」、「構造NGの資料だけを持ってきなさい」などと言われるのみで、全く取り合ってもらえませんでした。そのため、南海辰村建設の間違った主張に対して、法廷ではほとんど反論していません。

 

・第一審訴訟の三年間、法廷内で弊社の代理人である第一審弁護士は何も喋りませんでした。相手側の主張に反論せず、構造に問題があることについての主張もしませんでした。また、建物調査に関わった方々を証人として法廷に呼ぶこともありませんでした。

 

・弊社が要求していたにもかかわらず、第一審弁護士の判断・指導により、多くの契約違反、法令違反、瑕疵(かし)の訴えが、法廷に提出されませんでした。

 

・第一審訴訟で「建替え一本」のみの主張を弁護士の主導で行ってしまいました。現在の裁判では「建替え」ということは容易に認められないのが、建築裁判での通例です。完成した建築物を建替えることは、社会経済的に大きな損失をもたらすと判断されるためです。弊社が「建替え一本」のみで裁判を戦うに至ったのは、第一審弁護士と第一審弁護士の紹介による専門委員による指導に従ったためです。

 

・第一審弁護士は、弊社に相談なく無断で費用相殺行為(南海辰村建設訴訟額約15億円 - 弊社訴訟額約53億円)を行いました。そのため、引渡しを受けたと裁判所に判断されてしまったのです。建築裁判においては差額の費用相殺行為というのは絶対にしてはならない初歩的なミスです(その結果、第一審の判決で、弊社は差額費用の金利として、1日60万円の支払いを課されました)。

 

・弊社は、第一審の判決を受け、控訴することを決めたのですが、控訴の手続きを第一審弁護士に依頼しました。第一審弁護士は裁判所に提出する控訴状の「請求の趣旨」の欄に「仮執行宣言」の主張をしていませんでした。つまり、たとえ控訴審で勝訴したとしても、(相手側が上告などの手続きを踏むことによって、判決の確定が持ち越された場合)判決確定まで相手から財産上の支払いを受け取れなくなってしまうということです。

 

・裁判は自分の責任です。弁護士と専門家の選定には自分が「相談ができ、信頼できる人」を選定しなければなりません。裁判の主導権は自分にあり、弁護士と専門家にまかせっきりではいけません。自分自身が勉強することも大切です。

 


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弊社の決意

 

建築欠陥問題で困っている方はたくさんおられます。

 

弊社は社会正義の為にもこの裁判を戦っていきます。

 

 


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