先日のブログでは、三菱地所の欠陥マンションで問題になっているスリーブの施工間違いによりコア抜きをしたため鉄筋が切断されていたことについて、大津京ステーションプレイスの場合もまったく同じケースの欠陥が見つかっていることを紹介しました。
今回は、大津京ステーションプレイスにはもっと重大な構造欠陥があることについてお話ししたいと思います。
本訴訟専用サイトをご覧になればお分かりになると思いますが、大津京ステーションプレイスには多くの欠陥が確認されています。その中でも、基礎部分において柱と柱をつなぐ基礎梁という部材が柱と一体化していなかったり(くっ付いていない)、基礎梁自体が3分割、4分割になっていたり(バラバラになっている)していることが調査により確認されています。
もう少し詳しく説明しますと、一体となって打継がれているはずのコンクリートの打継ぎ面が分離状態になっているのです。
原因は、コンクリートの打継面が目荒らしされていないこと、レイタンスと呼ばれるドロ状の物質がコンクリートの打継面に堆積していること、さらには、コンクリートの打継面を清掃していないことにより木くずなどが混入されていることによるものです(下の写真)。
このようなコンクリート打継面における目荒らし、レイタンスの除去、清掃というものは、コンクリート工事において基本中の基本らしく、この打継面の調査に立ち会った専門家や有識者は、そろって「コンクリート工事の典型的な悪い例として教科書に載せたいぐらいだ」とおっしゃっていました。それほど、ずさんな工事ということです。
ちなみに、調査に立ち会われた有識者の一人である大阪大学の鈴木名誉教授は、南海辰村建設のずさんな工事を目の当たりにされて、控訴審に提出されている鑑定意見書の中で、「本建物の工事は、すべての面において、かなり低レベルで行われたと判断される」と述べられています。
さらに鈴木名誉教授は、「打継ぎ部分において充分な一体性が保たれていないとすれば、この下層部の柱・梁が分離状態となるため・・・耐力低下等を生じるなど、かなり危険な状態になる筈である」とも指摘されているのです。
本件訴訟に協力してくださっている構造の専門家の方も、このコンクリートの打継面が一体化していなくて、分離状態になっている欠陥は、それこそ南青山の三菱地所欠陥マンションにおけるスリーブ施工ミスどころの問題よりもっと重大で深刻な問題だと先日おっしゃっていました。
今回お話しているような基礎部分の構造欠陥というものは、工事がある程度完成してしまうと専門家でも発見するのは難しく、発見するためには大規模な調査が必要になります(当然、調査費用も莫大なものになります)。
ですから、南海辰村建設は、このようなずさんな手抜きをしておきながら、どうせ分からない(バレない)だろうからと、隠蔽し何事もなかったかのように弊社に建物を引き渡そうとしたのです。
このような悪行を平然とおこなう南海辰村建設を社会全体が許すわけがありません。
尚、コンクリートの打継面が一体化していなくて、分離状態になっていることやその他の構造欠陥が大津京ステーションプレイスの耐震性能低下にどれだけ影響しているかについては、またの機会にお話したいと思います。
コメント
コメント、ありがとうございます。
南青山三菱地所の欠陥マンションは、鹿島建設が解体と建設費用を全額負担するかたちで建て替えが決まったそうです。
「補修だけでは住む気にならない・・」と思う契約者がいてもおかしくないですから。
(このことについては、大津京ステーションプレイスでも同様だと思います)
鹿島建設は、契約者だけでなく社会全体からの信頼を取り戻すには、建て替える以外に方法がないと判断したのでしょう。
南海辰村建設も早くこのことに気付いてほしいと思います。
鹿島さん、三菱地所さんの東京のマンションは建て替えが決まったのですね。
こちらのほうが、ひどい状況じゃないのですか?