巨大怪物がなせる訴訟手法

怪物がなせる理不尽な仮執行


前回のブログでお伝えしましたように、仮執行による仮差し押え物件の競売で、弊社の所有するパークワイツ(大津市内マンション1戸)が2288万円でM社により落札されました。パークワイツは大津京ステーションプレイスに隣接するマンションです。築後11年を経ていますが、2288万円という落札価格は資産価値があまり落ちていないことを裏付けています。
好立地の物件であり、多数の入札があったと思われますが、5位までの入札情報を以下に紹介します。

 

・1位 M社 入札額2288万円で落札(26坪。坪当り88万円)
・2位 Y社 入札額約1943万円
・3位 T社 入札額約1931万円
・4位 H社 入札額約1893万円
・5位 S社 入札額約1792万円

大津京ステーションプレイスはパークワイツよりもJR-大津京駅・京阪-皇子山駅近くに立地し、インテリアは東京の有名インテリア会社が手掛けています。築後5年に満たない本件マンションは、第一審判決に従えば、南海辰村建設が主張するように重大な瑕疵がないことになり、パークワイツ以上の資産価値がある物件であるはずです。したがって、一戸当たりの販売予定価格約3千万円 × 未引渡し住戸49戸分=約15億円となり、15億円からの資産価値の下落幅は少ないと考えられるので、南海辰村建設の工事請負代金の残金は十分担保として確保できていたと想定することができます。

 

しかしながら、南海辰村建設は唐突な訴訟提起と同時に、本件訴訟物件とは無関係な弊社所有の他の不動産を仮差し押さえし、仮執行によりそれらの物件が昨秋以来、次々に競売に掛けられ、資産価値を大幅に下げられて売却された結果、弊社は甚大な経済的損害を被り続けています。

 

そこで弊社が伝えたいのは、「本件訴訟物件である大津京ステーションプレイスの未引渡し住戸49戸分を仮差し押えの対象にすれば、工事請負代金の残金は担保できるのが当然ではないか」ということです。

仮に、本件訴訟物件である大津京ステーションプレイス未引渡し住戸49戸分を競売に掛け、その結果として工事請負代金の残金に満たなければ、補填としてその他の弊社所有不動産を仮差押えし、競売に掛けるというのが正当な手順ではないでしょうか。

 

南海辰村建設が正当な手順を踏まなかったのはなぜでしょう。それは、本件マンションの未引渡し住戸49戸分だけを仮差し押さえしても工事請負代金の残金約15億円の回収ができないと認識していたからです。すなわち、南海辰村建設は当初より本件建物に重大な瑕疵があることが分かっており、競売によって本件建物の瑕疵内容が明るみに出ることを何としても回避したいという目論見があったのではないでしょうか。

ですから、南海辰村建設は弊社所有の他の不動産を次々と仮差し押さえし、競売によって資産価値を大幅に下げて売却することにより、弊社の経営体力を奪い、弊社が存続できないようなことになれば、本件マンションの杜撰(ずさん)な手抜き工事による重大な瑕疵(欠陥)や法令・契約違反の数々は闇に葬られると目論んだのではないでしょうか。

 

弊社がそのように思うのにはいくつかの理由があります。

 

※  フライデーで報道されたように本件マンションの現場所長はコンクリート会社から裏金を受け取っていました。裏金を通じて共犯関係になった下請け業者と共に、違法な工事、杜撰(ずさん)な手抜き工事が組織ぐるみで繰り返されていたことが窺えます。
 
※  本件マンションは、契約違反(詐欺的行為)によって契約金額より総額2億6千万円減額した図面で施工されていたことが調査から判っています。多くの施工、設備機器等において品質が落とされた結果でありますが、過剰な利益追求と裏金づくりのために、安全性を無視した施工が本件マンションのあちらこちらで行われた結果でもあると言えます。

弱者を喰いものにする偽善者たち


弊社にとって到底納得できない第一審判決の結果として、仮執行により弊社の資産が資産価値を大幅に下げられて売却され、弊社は推し進めてきたマンション事業計画を放棄せざるを得ない状況にあります。弊社がなぜこのような理不尽な事態に追い込まれたのか、第一審裁判の戦い方はどのようなものだったのか、ここでもう一度説明いたします。

 

第一審において弊社は「建替え一本」のみで裁判を戦いました。それは、第一審弁護士と第一審弁護士に紹介してもらった専門家5人の指導に従い過ぎたためです。その指導について、いくつか紹介します。
専門家の一人は「私が大阪地裁の専門委員の中で一番建築構造に詳しい。他の専門委員は構造のことは殆んど分かっていない」と言っていました。「屋根に約350トンもの余分な増し打ちコンクリートが打設されていて、屋根に350トンもの余計な荷重が載っていたら、建物が耐震強度不足になるのは間違いないので、本件建物を建て替えなければならない」との意見を述べました(後に、屋根に約350トンもの余分な増し打ちコンクリートが打設されているということは調査ミスであり、実際は約250トンだったことが判明しています)。
第一審弁護士と専門家らは口をそろえて「本件マンションは構造的に欠陥があり、建替えが必要」と言い、「建替え一本」を裁判で主張することを弊社に求めました。
第一審弁護士は、「自分が船頭だから船頭の言うことに従ってください」、「手術が必要な患者が医者の言うことを聞かないでどうしますか(裁判のことは弁護士が一番よくわかっているのだから、依頼人は弁護士に従っていればよいという意味)」などと常日頃、言っていました。
第一審弁護士に、幾度となく証拠を揃えて陳述書を作成し、相手に反論するように依頼したところ、「論点がずれる」、「そんな細かいことはいい」、「構造NGの資料だけを持ってきなさい」と言われるばかりでした。結局、弊社が要求していたにもかかわらず、第一審弁護士は、多くの契約違反、法令違反、瑕疵(かし)の訴えを法廷に提出することはありませんでした。

 

 

一般的に建築訴訟において建替えが認められることは難しいということを弊社は第一審判決後に知りました。弊社に協力していた専門家は大阪地裁の専門委員をしていた経験から、当然建替え主張が認められにくいことを知っていたにも関わらず、弊社に対しては正反対の指導をしていたのです。弊社は第一審専門家らの助言が果たして公平・中立なものであったのか現在でも疑問に思っています。

 

というのも、第一審判決後、弊社に協力していた複数の専門家が弊社の訴訟相手である南海辰村建設と何らかの繋がりを持っていたことが分かったからです。これらの専門家から裁判に対してより適切な協力が得られていれば、建替え一本のみでの戦い方にはならなかったはずです。第一審での主張が建替え一本のみであったため、建替え以外の瑕疵について証拠を提出しておらず審理が尽くされているとは思えません。結果として第一審判決では建替えは認められず、その他の多くの瑕疵項目については証拠を提出していなかったため瑕疵と認められなかったのです。

 

決意新たに


弊社は、巨大な怪物(南海電鉄グループ)に戦いを挑む一寸法師(中小企業)のようなものです。普通に考えれば、巨大企業に中小企業が戦いを挑んでも勝ち目はないのかもしれません。巨大企業の前では、中小企業の主張する正義など簡単に捩じ伏せられてしまうのかもしれません。

 

しかし弊社は、巨大怪物(南海電鉄グループ)に戦いを挑むことをやめません。世の中には弊社以外にも欠陥建物で困っておられる方々が多くおられます。そのような方々のためにも、弊社は本訴訟を最後まで戦い抜いていく所存であります。
 
欠陥建物で困っている方々がおられましたら、ぜひ勇気を出して手を挙げて行動を起こしてほしいと思います。
みなさんの勇気ある一つ一つの行動がやがて大きな力となることを弊社は信じて戦い続けます。


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