防風スクリーン補修工事に見る杜撰(ずさん)な企業体質

昨年9月の台風18号により、大津京ステーションプレイス14階防風スクリーンが落下し、隣接マンションや近隣店舗に多大な被害をもたらしたことはこれまでにもお伝えしてきました。
この防風スクリーン落下事故は、一歩間違えば人身事故にもなりかねない重大な問題であることは言うまでもありません。

また、防風スクリーンの落下原因は、防風スクリーンの取り付け工事が杜撰(ずさん)だったことが原因であることもこれまでに指摘してきました。

この落下事故については、マンション管理組合から、南海辰村建設に対して、防風スクリーンの安全性には問題があるとして、防風スクリーンを安全に取り付け直すように申し入れが行われました。この申し入れに対して、南海辰村建設は、「当該マンションには瑕疵は存在せず、安全性も確保されているものと認識しております」としながらも、14階防風スクリーンが落下するという事態については、施工業者として人命を第一に考え早急に対応するとして、昨年12月に防風スクリーンの補修工事を行い、今年2月にマンション管理組合に対して防風スクリーン補修工事の完了報告書を提出していました。

 

マンション管理組合に防風スクリーン補修工事の完了報告書が提出されたことを機に、弊社にて防風スクリーンの補修工事によって安全性が確保されているか調査したところ、
「これが専門業者の行った仕事なのか?」
と疑いたくなるような杜撰(ずさん)な補修工事が行われていたことが発覚しました。

今回は、この杜撰(ずさん)な補修工事を大きく4つのパターンに分類してお伝えしたいと思います。(なお、今回お伝えする防風スクリーンの杜撰(ずさん)な補修工事の調査結果については、先月行われました控訴審裁判にも調査報告書として証拠提出しています)

パターン①

Lアングル固定金物の取り付けボルトが芯ズレしている箇所が、48箇所中31箇所あります。

コンクリート手摺り壁と防風スクリーンのアルミ支柱を固定するLアングル固定金物の取り付けボルトが、Lアングル固定金物の中心に取り付けられていないため、Lアングル固定金物の縁あき寸法が不足し取り付け強度が弱くなっています。また、外観上も見苦しく許容されるものではありません。

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パターン②

Lアングル固定金物と防風スクリーンのアルミ支柱を固定している貫通ボルトが水平に取り付けられていない箇所が、48箇所中3箇所あります。
コンクリート手摺り壁と防風スクリーンのアルミ支柱を固定するための支柱側の貫通ボルトが水平に取り付けられていないため、ナットがしっかりと固定できていないので、強風による振動でボルトが外れる可能性があります。
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パターン③

Lアングル固定金物と防風スクリーンのアルミ支柱を固定している貫通ボルトが芯ズレしている箇所が、48箇所中8箇所あります。
コンクリート手摺り壁と防風スクリーンのアルミ支柱を固定するためのアルミ支柱側の貫通ボルトが支柱の中心に取り付けられていないため、アルミ支柱の縁あき寸法が不足し取り付け強度が弱くなっています。また、外観上も見苦しく許容されるものではありません。
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パターン④

Lアングル固定金物が防風スクリーンのアルミ支柱面より飛び出して取り付けられている箇所が、48箇所中43箇所あります。
コンクリート手摺り壁と防風スクリーンのアルミ支柱を固定するLアングル固定金物が、防風スクリーンのアルミ支柱面より5ミリ~20ミリ飛び出して取り付けられています。飛び出しているLアングル固定金物の切断口は、刃物のような鋭利な状態のままになっているので、触れるとケガをする非常に危険な工事となっています。また、外観上も見苦しく許容されるものではありません。
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上記のようにずさんな補修工事をご覧になればお分かりいただけると思いますが、マンション管理組合から補修するように申し入れがあったので、何でもいいから、とりあえず取り付け直せばいいのだろう・・というやっつけ仕事的に行った工事としか考えられず、およそ専門業者が行った工事とは思えない目を覆いたくなるような仕業です。

南海辰村建設は、このようなずさんな防風スクリーンの補修工事を行っておいて、マンション管理組合に防風スクリーンの補修工事は完了しましたと報告書を提出しているのです。南海辰村建設は、一体どのような概念を持って仕事をしているのでしょうか?
このことは一事が万事であり、南海辰村建設の企業体質としては、物事をきちんと仕上げるという概念はなく、工事契約どおりに合法的な建物を完成させるという概念も持ち合わせていないということが見て取れます。

このような施工会社が施工した大津京ステーションプレイスにおいて、数々のずさんな手抜き工事や重大な瑕疵(欠陥)、契約違反があっても不思議ではありませんし、逆に手抜き工事や瑕疵(欠陥)があって当たり前と考えてしまうのは弊社だけでしょうか。

 

もう一つ注目すべき点があります。それは、南海辰村建設が行った防風スクリーンの補修工事では、防風スクリーンのアルミ支柱を固定し取り付けるLアングル固定金物が、防風スクリーンが落下したときのアルミ製の薄いLアングル固定金物からステンレス製の厚いLアングル固定金物に取り替えられていることです。

 

このことは、防風スクリーンが落下したときのアルミ製の薄いLアングル固定金物がもともと強度不足であったことを南海辰村建設が認めていることになり、前述しました「当該マンションには瑕疵は存在せず、安全性も確保されているものと認識しております」という南海辰村建設のマンション管理組合に宛てた回答とは矛盾する工事内容となっています。

 

このように南海辰村建設は、言っていることと行っていることが矛盾しています。「瑕疵は存在せず、安全性も確保されている」などという虚言に固執することをやめないと、次々とほころびができることに早く気付いてほしいと思います。

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