電気室内に、本来あってはならない排水管が施工されている。
2階のエレベータホールの背後に電気室が配置されている。
共用部や専用住戸部の電気使用容量が、建物全体で50KVA(※)を超えると高圧受電することになるため、関西電力所有の変電設備を設置して、電気を低圧に変圧して供給する配電方式を採る。
※KVA(キロボルトアンペア):電圧と電流だけで電力を算出するとVA、これに力率をかけると有効電力W(ワット)になる。
電気室は、関西電力が管理および保安責任を持っている。原則として関西電力係員の立会なしに入室を禁じられており、管理員ですら入室できないような体制を組むマンションもある。
その変電設備を設置した空間に、上階からの排水竪管が配置されている。通常では考えられない施工である。
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変圧設備を集中して設置する空間であるから、当然に、高圧受電設備の近くに排水管があってはいけない。配管メンテナンス時に誤って変電設備に接触して作業員が感電したり、排水管からの漏水でもあれば、大きな事故につながる。
どのような状況で施工されたかは不明であるが、危険な施工である。
電気室内の排水管の近接状況 |
電気室内の排水管の近接状況 |
関西電力の表示 |
アンテナ配線の端末が未処理。また配線が切り離しのまま放置されている状況も確認された |
電気室 |
電気室 |
電気室 |
電気室 |
南海辰村建設側から提出された竣工図
※竣工図とは、実際に竣工した建物を正確に表した図面のことである。
なお、電気室内は漏電火災等を防止するために、厳しく管理するようにに努めなければならず、大津市では、火災予防条例によってその安全基準を定めている。
この状態は、早急に改善しなければならず、関西電力からも、改善依頼書が事業主に届いている。
文面は、「できましたら・・・ご検討をお願い致します」「弊社の方でフェンスの設置工事をさせていただきたい・・・」と、丁重なお願い文ではあるが、新築の建物にこのような書面が発行されることは、基本的にはあり得ない。