杭(くい)工事とは、建物を支持層と呼ばれる堅い地層で支える為に、地中深くまで掘削し硬い地層に杭(くい)を打ち込む工事であり、マンションを建てるにあたって非常に重要なものである。
その杭(くい)工事において、南海辰村建設はコストダウンを図るため、契約図を無視し、杭(くい)の大きさや鉄筋の本数を無断で変更していた。
今回、契約図と竣工図を照らし合わせてみたところ、杭(くい)の直径が細くなっていた事や、鉄筋の太さや本数が減少していた事実が発覚した。
大津京ステーションプレイスの杭(くい)工事は、『場所打ちコンクリート杭(くい)』が使用されている。
場所打ちコンクリート杭(くい)は、現場で支持層まで穴を掘り、そこに鉄筋を入れてコンクリートを打設する杭(くい)の事であり、地中に深く埋まっているため、今更調査をすることは不可能である。
しかしながら、施主に無断でコストダウンを謀った事は言い逃れの出来ない事実である。
杭(くい)の長さ自体も支持層に十分到達しているかどうかさえ疑わしく思われる。
杭(くい)の長さが不足していた場合、建物はしっかりした土台の上に建てられていない事になり、人が住む建物としての根幹に関わる重大な問題となってくる。
杭(くい)のアンカー筋は、建物の基礎梁と杭をつなぐ重要な鉄筋であるが、その本数も 52本 → 43本 と、無断で減らされていた。
弊社が要求していた杭(くい)工事の仕様内容は、
直径2m、杭(くい)頭部のリブ付鋼管の厚みが16mmの杭(くい)を22本使用することであった。
ところが、実際に使用されたものは、
直径2m、杭(くい)頭部のリブ付鋼管の厚みが14mmの杭が4本、
直径1.9m、杭(くい)頭部のリブ付鋼管の厚みが14mmの杭(くい)が12本、
直径1.8m、杭(くい)頭部のリブ付鋼管の厚みが14mmの杭(くい)が6本
であった。
杭(くい)の直径を細くする事で、穴を掘る掘削量も使用するコンクリート量も減り、コストダウンしているが、それは当然契約違反である。
主筋は、D32(鉄筋経32mm) → D25(鉄筋経25mm) と、無断で細いものに変更されていた。
以上のような変更について、弊社は一切報告を受けておらず、南海辰村建設の独断で行われていた。
杭(くい)工事の減額分は約1,500万円にのぼるが、このような契約図と異なる工事は他にも多数存在している。