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屋上防水の欠陥

(マンガ「屋根防水工事の欠陥」はこちらをクリックしてご覧ください)

日本建築検査研究所 岩山健一氏の鑑定意見書

・屋根防水に関する事
本件聞き取り調査により、14階1404号室前の開放廊下天井スラブ排水ドレイン廻りで漏水が発生した為、屋上に水張り試験を行った所、防水層の下面に水が浸入し、階下に漏水したとのことである。これらは、屋根防水層に不良があることが明らかである。特に、請負会社は屋根防水完了時に水張り試験を行ったなどと主張しているが、検査方法並びに施工がずさんであると言える。


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■岩山健一氏 プロフィール■
一級建築士
株式会社日本建築検査研究所 代表取締役
■主な出演番組■
テレビ東京「完成!ドリームハウス」
テレビ朝日「スーパーモーニング」
テレビ朝日「やじうまプラス」
TBS「みのもんたの朝ズバッ」
KTV「痛快エブリデイ」

阪神淡路大震災をきっかけに住宅の欠陥検査に着手。平成10年日本建築検査研究所を立ち上げ、市場における欠陥住宅の発生予防とその解決および紛争の支援を行っている。不動産業者や建設業者等との一切の利害関係をもたない消費者の味方として、これまでに2000件を超える手抜き・欠陥住宅の回復、救済を多数手掛ける。

大阪大学名誉教授 鈴木計夫工学博士の鑑定意見書

・屋上防水の水勾配をスラブ厚さで取り、荷重増加している。
・これに関連して屋根からの漏水も著しい。
・屋根からの漏水:→ 屋根床スラブの耐久性、構造性能の低下

水張り試験をおこなったところ屋上床の各所に広い水たまりができ、かつ防水層の下側に大量の水が浸入し、その部分の防水層は屋根床より20~100mmも浮き上がるという、全く考えられない状態となっている。
そのためもあって、最上階である14階の各所に雨洩りが生じている。
結論:直ちにその原因を確かめて、防水工事の全面やり変えを実施すべきである。


■鈴木計夫工学博士 プロフィール■
大阪大学名誉教授
吉林建築工程学院名誉教授
元 福井工業大学教授(財)大阪建築防災センター
構造計算適合性判定業務 監視委員会 委員長
建築確認検査業務 監視委員会 委員長
日中建築構造技術交流会 名誉会長
(社)日本建築学会 司法支援建築会議 運営委員
大阪地方裁判所(最高裁判所人事) 専門委員
NPO法人 PC建築技術支援センター 理事長
(一社)関西建築構造設計事務所協会 名誉顧問
和歌山県建築構造設計協会 名誉顧問

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第一審の判決文では、現状の施工が設計上の指示と齟齬していることは認めながらも、「本件全証拠においてもこの点が防水上の機能を特に損なっているものと認められないことなどに照らすと、この点が瑕疵(かし)に当たるとまではいえない」という内容であった。

しかし、今回試験的にドレイン(排水口)を試験的に排水されない様に封水した上で、水張試験を実施した結果、水位がパラペットのアゴ下まで達しない段階(立上りのスラブ切付レベル付近)で、14階バルコニー、廊下、室内に雨漏りし出した。

第一審で当社が主張した様に、ゲリラ豪雨等の予期しない集中豪雨になれば、試験的に行った水張り状態と同様な状態になり、確実に雨漏りが発生するということが証明された。


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2013年6月19日
屋上の防水機能を確かめるため、雨天(梅雨)時に雨水を利用して水張り試験を実施した。
※19日の降水量:14mm/h

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本来はドレインから雨水が排水されるのだが、今回は試験のため封水処理を行った。
しかしながら、このドレインも、屋上の面積を考えると小さい物(径75mm)が使用されている。
大雨の日が数日続けば、排水能力が追い付かず、今回の様な屋上に雨水が溢れかえる状態になる事は十分に考えられる。 

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2013年6月20日
写真は雨の日の翌日のものであるが、一日で屋上のパラペット立ち上がりまで雨水が溜まっていた。


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アスファルト防水の下に水が浸入していることを通気口の中で確認できた。
※通気口とはアスファルト防水下の断熱材のガス抜きの穴である。


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屋上のすぐ下の部屋にて、雨漏れの調査を行った。

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天井のいたるところから、多量の雨漏りが発生していた。

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床一面が水浸しになっており、とても人が住める状態ではなくなっていた。

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畳コーナーに至っては、水が溜まり池の様な状態になってしまっていた。

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雨漏れによりクロスが完全にめくれてしまっていた。

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天井だけではなく、壁にまで水が伝ってしまっており、もはや内装は完全に使い物にならなくなってしまった。


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天井裏には多くの配線が施されているが、当然この配線も水浸しである。
このままでは漏電する恐れが非常に高く、大変危険である。


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共用の廊下でも雨漏りが発生している。
今回の調査により、屋上の防水機能が欠落している事が証明された。


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2013年7月8日
屋上の防水層の下に水が浸入しているかを確かめる調査をした。

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通常時、床面と測定機までの高さは「4cm」であった。

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測定器の前に人が立ち、再度計測すると、床面からの高さは「14cm」になっていた。

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つまり、防水層の下に雨水が入り込む事で防水層が10cmも浮き上がった。

よって、これは防水層が何の意味もなしていないことの証明であり、雨漏りの原因である。


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