IR情報でも虚偽の記述を発信する南海辰村建設

南海辰村建設は、本件訴訟について平成25年2月27日付の「訴訟の第一審判決に関するお知らせ」と題した IR 情報(企業が投資家に向けて、経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動)を自社ホームページで発信しています。

 

今回は、この IR 情報には法律を無視した虚偽の記述内容があることを指摘したいと思います。

 

問題の IR 情報から、虚偽記述部分の抜粋を下記に記載します。

 

1.訴訟の提起から判決に至るまでの経緯
- 略 
 
当社としては、①大覚が要求する手直し工事に誠意をもって対応してきたこと、
②大覚の代理人である設計監理会社の指示の下、建築確認済の図面にもとづいて施工し法律上問題ないこと、③役所の竣工検査を経て、正式に建築確認検査済証を受けていることから、本物件について瑕疵は存在しないこと等により、大覚が主張する手直し工事は過剰な要求であると判断し、同社に対して、平成22年1月7日付で請負代金請求訴訟(訴額:1,581 百万円(請負代金の残金))を提起いたしました。

 

まず、「①大覚が要求する手直し工事に誠意をもって対応してきたこと、」という記述については、弊社に対して誠意をもった対応はしてもらっていませんが、法律上、どこまでが誠意なのか明確にはできませんので、今回のブログ記事では触れないことにします。

 

次に、「②大覚の代理人である設計監理会社の指示の下、建築確認済の図面にもとづいて施工し法律上問題ないこと、」について、実際には法律上問題があり、事実に反した虚偽の記述になっています。
「建築確認済の図面にもとづいて施工し」とありますが、建築確認済の図面どおり施工はされていません。

 

施工された耐震スリットの位置は、建築確認済の図面とは異なりますし、何より明白なのは、実際には屋上に約250トンもの余分な増打ちコンクリートが打設されています(この事実は第一審判決でも認められている)が、この約250トンもの余分な増打ちコンクリートを打設することが建築確認済の図面には記載されていません。また、当然のことですが、建築確認済の申請書に添付されている構造計算書にも屋上の約250トンにおよぶ余分な増打ちコンクリートの重量は考慮されていませんでした。(建築基準法第20条違反)

 

さらに、建築確認済の図面では呼び強度発注のコンクリートを使用するように記載されていたにもかかわらず、基礎から11階床までのコンクリートには、建築基準法で認められていないJIS規格外の水セメント比発注のコンクリートが使用されていました。(建築基準法第37条違反)

 

これだけの法律違反を犯しておいて、「建築確認済の図面にもとづいて施工し法律上問題ないこと、」などと記述するとは、一体どのように理解すればよいのでしょうか。

 

もう一つ、「③役所の竣工検査を経て、正式に建築確認検査済証を受けていることから、本物件について瑕疵は存在しないこと等により、大覚が主張する手直し工事は過剰な要求であると判断し、」についても、事実に反する虚偽の記述があります。
「③役所の竣工検査を経て、正式に建築確認検査済証を受けていることから、」とありますが、南海辰村建設は、上述したような建築基準法違反を秘匿して検査済証(建築確認検査済証)を取得しています。

 

つまり、建築確認で予定していなかった屋上に約250トンもの余分な増打ちコンクリートを打設した場合、構造計算をやり直し建築物の計画変更について、建築確認を取り直す必要があります。しかし、本件建築物の屋上増打ち重量に関する計画変更について、建築確認の取り直しは行われておりません。(建築基準法第6条違反)

 

基礎から11階床までにJIS規格外の水セメント比発注のコンクリートを使用する場合は、国土交通大臣の認定を受ける必要がありますが、本件建築物に使用されたJIS規格外の水セメント比発注のコンクリートは、国土交通大臣の認定を受けていません。(建築基準法第37条違反)

 

このように、法律違反を秘匿して検査済証(建築確認検査済証)を取得しておきながら、「正式に建築確認検査済証を受けていることから、」などと記述すること自体、悪質で問題ある行為だと思われます。

 

最後に、「本物件について瑕疵は存在しないこと等により、大覚が主張する手直し工事は過剰な要求であると判断し、」と記述されていますが、記述が事実ではないことは、弊社の訴訟専用サイトをご覧いただければお分かりになると思いますので、このブログ記事では触れないことにさせていただきます。

 

IR活動は、どういう情報を、どれだけ、いつ開示するのか、すべて企業側に任されている基本的に自由な活動でありますが、投資家を欺くような情報を発信する南海辰村建設の企業倫理に疑問を感じずにはいられないのは弊社だけでしょうか。

 

弊社は、上述しました数々の法律違反についても控訴審で追及していきたいと考えております。

(社員F)

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コメント

  1. 社員F より:

    コメント有難うございます。
    欠陥住宅の被害に遭われているとのことですが、大変な思いをされているのだと思います。
    ご指摘の気になる点についてお答えします。
    完了検査の申請手続きを行ったのは、南海辰村建設ではなく、本件の設計・工事監理者である設計事務所(設計監理会社)です。工事監理者にも責任があると思いますが、設計事務所の代表者は亡くなられており、弊社は設計事務所に対して訴えを起こしておりません。
    ただ、控訴審に提出されている専門家の意見書では「特に構造の瑕疵については巧妙に隠蔽されていて、建築の瑕疵という技術論とは次元を異にする仕儀である」と指摘されていますので、工事監理者がどこまで法律違反を認識できたか疑問が残ります。
    いずれにしても、建築確認で予定していなかった屋上に約250トンもの余分な増打ちコンクリートを打設したことを例にとってみても、構造計算をやり直し建築物の計画変更について、建築確認を取り直す(安全を確認する)必要があったことを南海辰村建設が認識していなかったのであれば、本件建物を施工するための能力が備わっていなかったことになります。
    最後に、欠陥住宅問題が、まだ解決されておられないようなので、弊社の本訴訟サイトに設けました「欠陥建物被害にあわない方法」をご覧いただき、少しでもお役に立つことを願ってやみません。

  2. 匿名希望 より:

    初めまして。我が家も同じく欠陥住宅の被害者で まだ決着をしておりませんので 匿名でお願いします。また 大変な事に巻き込まれ お気持ちお察しいたします。
    今日は「IR情報でも虚偽の・・・」を読ませて頂きましたが 少し気になる点がありご連絡させていただきます。
    「③役所の竣工検査を経て、正式に建築確認検査済証を受けていることから、」とありますが、南海辰村建設は、上述したような建築基準法違反を秘匿して検査済証(建築確認検査済証)を取得しています。→勘違いかもしれませんが 完了検査を受けるには
    監理建築士が 市役所に届けを出すと聞いております。市役所でも (建築士が)虚偽の申請を出して完了検査済証を得た場合は 建築士法違反と聞きました。
    南海辰村の建築士さんが 申請を出したのですか? 
    また 以下のサイトは 瑕疵について質問した建築士さんが 監理建築士の仕事の内容について教えて下さったものです。 お役に立ちますでしょうか?
    発行:一般社団法人 新・建築士制度普及協会
    〒162-0825 東京都新宿区神楽坂1-15 神楽坂1丁目ビル6F
    Tel:03-3513-7889
    「工事監理ガイドが策定されました」とあります。
    http://www.icas.or.jp/download/pdf/kouzi_kanri.pdf
    施主が 監理建築士より頂く「監理報告書」は15年保存だということを 県にも確かめした。
     我が家は普通の戸建ですが それでも監理建築士が しっかり監理をしてくれて
    いれば こんなことにはならなかったと残念に思っています。もちろん 監理報告書などありません。業者の丸投げ工事でしたから。

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