これが日常メンテナンスで対応可能なのか?

大津京ステーションプレイスにおいて、立体駐車場の地下ピット部分が漏水により浸水状態になっていることは、これまでにも本訴訟専用サイトなどを通してお伝えしています。

今回は、南海辰村建設が第一審の瑕疵一覧表で、立体駐車場の地下ピット部分が漏水により泥水が溜まっている状態について、どのような見解を示しているかを紹介したいと思います。

 

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地下ピットに水が溜まった状態。平成24年6月26日撮影(水位36㎝)

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平成26年5月16日撮影(水位80㎝近く)

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車を乗せるためのパレットは水没している(足元) 

 

立体駐車場の地下ピットは、大断面の基礎梁により取り囲まれています。この大断面の基礎梁が地下ピットの壁になっているのです。
立体駐車場の地下ピットへの漏水の原因は、壁になっている大断面の基礎梁に貫通クラック(基礎梁の内側面から外側面まで貫通したひび割れ)が発生し、その貫通部分を通って地下水がピット内に浸入しているからです。
それ以外に、基礎梁打継部の止水処理や地下外周部の防水処理に施工不備があることも一因しています。

 

次に、地下ピットに浸入してきた地下水が、なぜピット内に溜まっているのかについて説明します。
立体駐車場の地下ピットには、もともと建物の東側を水上として西側に向かって排水できるように自然勾配の排水孔と排水溝が設計されていました。
この排水孔と排水溝は、台風時などの予期しない雨水の浸入や降雨により濡れた自動車が立体駐車場に入庫した場合の垂れ水の排水処理、さらには自動車からのオイル漏れ等の処理のために設けられたものであって、外部からの地下水の漏水を許容するための排水設備ではありませんでした。

 

外部からの地下水の漏水は、あってはならないことが大前提ですが、仮に地下ピットに漏水があったとしても、前述しました排水孔と排水溝が機能していれば、地下ピット内に浸入水が溜まることは無かったかもしれません。

 

しかし、信じられないことに前述しました排水孔と排水溝の勾配が、一部の区間で逆勾配になっていたため、浸入水が排水できず水が溜まる状態になりました。
さらに、基礎梁の貫通クラックからの浸入水がコンクリート内部の鉄筋を錆びさせ、鉄筋の錆び汁やコンクリートの生成物を含んだ浸入水によって、排水孔や排水溝に堆積物がたまり、完全に排水孔や排水溝を塞いでしまい、現在でも70センチ程度の水が溜まった状態になっています。
(弊社は、これまでに何度かにわたりポンプで溜まった浸入水を排水していますので、浸入水の累計はおよそ2.2メートルにもなります)


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堆積物によって塞がってしまった排水孔。平成23年6月7日撮影

このようなことが、新築後半年~2年の間に起こるでしょうか。
南海辰村建設は、第一審の瑕疵一覧表において、地下ピットの排水孔・排水溝が逆勾配であり、釜場・排水溝に泥水が溜まっていることに関して、逆勾配による泥水が溜まっている点については不知としながら、「漏水が溜まっている点については建物管理者による日常メンテナンスにて対応可能」との見解を示しています。

 

施工不良による漏水が、施工ミスにより排水が逆勾配となっているため、水が溜まっている立体駐車場の地下ピットをマンションの管理人もしくは管理組合の方々が日常メンテナンスとして、排水作業をしなければならないのでしょうか。

 

マンションの管理人もしくは管理組合の方々が、立体駐車場の地下ピットに溜まった漏水を排水ポンプか何かで排水しないといけない分譲マンションなど聞いたことがありません。
おそらく、大津京ステーションプレイス以外には、この世の中に存在しないと思います。

 

ちなみに、第一審判決では、基礎梁の貫通クラックや打継部からの漏水は瑕疵として認定され、補修費用も認められています。
3箇所の排水孔と一部区間の排水溝が逆勾配になっていることについても瑕疵として認定されています。

 

自らが行ったずさんな工事によって、地下ピットに溜まっている泥水を日常メンテナ
ンスで対応可能などと主張する南海辰村建設は、入居者が普通に暮らせる建物を完成させる(建設する)という概念を持ち合わせていないのでしょうか。

(社員Y)

 

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