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コンクリートの欠陥

(マンガ「コンクリートの欠陥」はこちらをクリックしてご覧ください)

日本建築検査研究所 岩山健一氏の鑑定意見書

建築基準法第37条では、「建物基礎及び主要構造部で使用するコンクリートは、その品質がJIS規格(日本工業規格)に適合することを定めている。
本件建物に使用されたコンクリートは、一部に水セメント比発注によるコンクリートが使用されているが、これらは全てJIS規格に適合しておらず、建築基準法第37条違反に該当する。
特にJIS A 5308で定める普通コンクリートの呼び強度は45Nまで規格しており、JIS規格コンクリートを使用しない理由が無い。

また、水セメント比発注のコンクリートは、高強度コンクリートを使用した高層鉄筋コンクリート造建築物などで使用するものであるが、その品質管理は、低熱なセメントなどセメントの種類の選定、高周波加熱乾燥法などによる水セメント比の管理、コンクリート品質管理試験室の設置やコンクリート主任技術者の常駐などの留意等、厳格な管理が必要であるが、本件コンクリートの管理においては、その様な内容は見受けられない。
よって、法不適格なコンクリートについては、支払い対価に該当しないと考えられる。


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■岩山健一氏 プロフィール■
一級建築士
株式会社日本建築検査研究所 代表取締役■主な出演番組■
テレビ東京「完成!ドリームハウス」
テレビ朝日「スーパーモーニング」
テレビ朝日「やじうまプラス」
TBS「みのもんたの朝ズバッ」
KTV「痛快エブリデイ」

阪神淡路大震災をきっかけに住宅の欠陥検査に着手。平成10年日本建築検査研究所を立ち上げ、市場における欠陥住宅の発生予防とその解決および紛争の支援を行っている。不動産業者や建設業者等との一切の利害関係をもたない消費者の味方として、これまでに2000件を超える手抜き・欠陥住宅の回復、救済を多数手掛ける。


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梁のコンクリート部分


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梁のコンクリートをドライバーでつついてみた


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コンクリートが脆く、崩れてきた


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ジャンカ・砂すじ

写真は、立体駐車場の水平打ち継ぎ部でのジャンカである。

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コンクリート中の余剰な水分が分離し、外部に流れ出す場合に生じる「砂すじ」も各所で見つかった。


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内部欠陥(異物混入)

【立体駐車場 3階梁】

構造体に木が埋まってしまっている。この様な事は通常考えられない。

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【立体駐車場 3階梁下】

構造体にゴミが入っており、ひび割れやコンクリートの不良部が発生している。
発生原因は、コンクリート打設前の型枠清掃がされていない事が考えられる。

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【立体駐車場 3階柱】

柱と梁の打ち継ぎ部にプラスチックのカケラが埋まっており、そこからジャンカが発生している。

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【立体駐車場 2階梁下】

コンクリートにガムテープが埋まっている。

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【立体駐車場 2階壁】

紙がコンクリートに混入しており、そこからジャンカが発生している。

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【立体駐車場 2階壁】

ジャンカ部分を調べていると、この様に細かいゴミが混入している箇所が多く見られた。

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コールドジョイント

【立体駐車場 3階梁下】

コンクリートを打ち重ねる適正な時間の間隔を過ぎてコンクリートを打設したため、前に打ち込まれたコンクリートの上に後から打ち込まれたコンクリートが一体化しない状態となってしまっている。

発生原因は
①生コンクリート打設時の時間管理が適切でない
②生コンクリート打設時の突き固めが不十分である


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【立体駐車場 地下ピット壁】

コンクリートが一体化されていないため、結合界面に水が浸入しやすく、水が流れ続けると、もともと弱い結合力がさらに弱まる。

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あばた

【立体駐車場 2階壁】

コンクリート打込み時に巻き込んだ空気がなくならずに残って露出し、硬化したため、壁に「あばた」と呼ばれる気泡ができてしまっている。

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【立体駐車場 1階壁】

あばたは、構造物の外観を損ねるだけでなく、コンクリート表面付近の品質に悪影響を及ぼし、コンクリート構造物の耐久性の低下を引き起こす。

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その他

天井裏の梁構造体に、へこんで欠けている箇所が多く見られた。

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この欠けている部分は、コンクリート打設時に使用されたビームという仮設材によるものだが、本来は適切に補修処置しなければならない。

構造体の強度が低下している(梁構造断面欠損が生じている)。

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壁面に、コンクリート打設時の型枠締め付け金物の穴の処理がされていない箇所が多数見つかった。
こちらも適切に補修処置されるべきものである。

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