さらに③。南辰は、裁判において自分の主張が苦しくなると、新たな図面を提出してきたのだ。覚くんも見たことのないような、押印もない、記名のない書面を「最終合意図面」として提出してきたのだ。こんな図面は、わけがわからない。南辰は、訳のわからない図面を出してきて、あらゆるスペックダウンを正当化しようとしているのだ。
①~③の詳細については、このあとで説明します。
<五つの罠: 其の五>
●建築基準法通りの施工がなされていない。建築基準法違反と大小様々な瑕疵!!
・屋根荷重
屋上に構造計算以外の余分なコンクリートが二百四十五トンも載っている。変更の確認申請をしていない。確認申請機関を騙して、検査済書を取得した。
本件建物はパターゴルフ場のように波打ち、パラペットの立ち上がりが四センチしかない。
上の写真は一般的な屋上。パラペットは三十センチ以上ある。本件屋上のように波打ってもいない。
・屋上のパラペットの立ち上がりが低い(四センチしかない)、防水処理ができていない
屋上に余分なコンクリートを増し打ちしたため、波打った、パターゴルフ場のような形状になっている。そのために通常二十六センチ以上設けるパラペットの立ち上がりが四センチしかなく、豪雨時にはその隙間から雨水が防水層の裏に周り最上階で雨漏りが発生する。当然、四センチの立ち上がりでは、適切な防水工事を行うことは出来ない。
屋上のパラペットの立ち上がりが四センチでは適切な防水工事を行うことは出来ない。
パラペットの立ち上がりが四センチしかなく防水処理ができていないので、豪雨時にはその隙間から雨水が防水層(防水シート)の裏に周り込み最上階で雨漏りが発生する。
・杭
調査した六本の杭の全てにおいて、支持層への未到達、根入れ不足が見つかった。つまり、調査結果では、適切に施工された杭は一本もなかった。
・基礎の打ち継ぎ不良
本来、コンクリートは打ち継ぎ部に適切な処理をして一体化させなければならない。しかし、この建物では、適切な処理を怠ったため、一体化しておらず、打ち継ぎ部で分離している。このことを加味して構造計算を行ったところ、耐震性が著しく低いという結果が出た。耐震性のみならず、その隙間から水が漏れている。
南辰がコンクリート工事で適切な処理を怠ったため、このマンションの基礎コンクリートは打ち継ぎ部(つなぎ目)で一体化しておらず、バラバラな状態だ。
・地下の漏水(水没した立体駐車場)
打ち継ぎ不良の結果、地下水の漏水により、立体駐車場の地下ピットには大量の地下水が溜まっている。さらにコンクリート成分のエフロレッセンスや鉄筋の錆び汁も大量に堆積している。このため、立体駐車場は水没し、チェーンも錆び、電子機器も誤作動を起こし、立体駐車場として使用できなくなった。
打ち継ぎ不良による地下水の漏水の結果、コンクリート成分のエフロレッセンスや鉄筋の錆び汁が大量に堆積している。
エフロレッセンスが大量に堆積し排水溝を塞いでしまっている。
ガソリントラップにエフロレッセンスが堆積し、使用できない状態だ。
漏水により立体駐車場のチェーンが錆び、現在立体駐車場は使用不可能だ。
・地下の排水溝が逆勾配
立体駐車場の中に入った雨などを排水するための溝が、逆勾配で施工されたり、排水用の穴をあけていない箇所もあったため、構造体に無理矢理穴をあけた結果鉄筋を切断している。鉄筋が錆びて膨張している。
立体駐車場の排水溝が逆勾配のため漏水が排水されず、エフロレッセンスが堆積している。
構造体に無理矢理穴をあけた結果鉄筋を切断。鉄筋が錆びて膨張している。
・生コン、コンクリート施工不良(ジャンカ、ひび割れ)
JIS規格外の生コンが使用されている。大臣認定も受けていない。明らかに建築基準法違反の生コンが使用されている。そもそもコンクリートの中に木片が埋まっていることからも、いかに、ずさんで管理がなされていなかったかは明白である。そのため、しっかりとコンクリートが打てておらず、ジャンカやひび割れが多数発生している。
JIS規格外のコンクリートによって多数のひび割れが発生している。ひび割れから漏水し、茶褐色の錆び汁が出ている。
地下ピットのひび割れから漏水が発生し、コンクリート成分が鍾乳洞のように固まっている。
地下ピットのひび割れから漏水が発生し、コンクリート成分が鍾乳洞のように固まっている。
・電気室の水の配管
六千六百ボルトという高圧の電気が流れる電気室に、なんと水の配管が設置されているのだ。万が一、地震などで、漏水でも起きようもなら、ただちに漏電が発生し、隣にあるキッズルームの子供たちの命にかかわる大惨事の発生が想定される。関西電力を騙し、先に電気工事が終わった後に、水の配管を施工した。電気室に水の配管があってはいけないことを知っていた計画的な犯行だ。
関西電力から是正勧告が出されたにもかかわらず未だに放置されている。事故が起きれば大覚の責任になる。悪質な工事だ。六千六百ボルトもの電気が流れる電気室に、水の配管を施工しては絶対にいけない。水が通っている電気室をみた関西電力の検査員も驚いていた。これは本当に悪質だ
六千六百ボルトの高圧トランスが設置されているすぐ横を水の配管が通っている。排管から漏水した場合、非常に危険である。
・消防設備(消火栓)の違反
消火栓の配管が、実は地中で錆びていた。これでは万一の火災の際にも使い物にならない。当然、消防署からも是正勧告が出された。消防署からも危険が指摘されているにもかかわらず、南辰は、一向に対応しようとしない。放置だ。人命軽視もはなはだしい。
消防署によるバルブ周辺の調査。
消火栓の配管が地中で錆びていた。
消防署から送られてきた是正勧告
そもそも強風時にも玄関ドアが開くように設けられた防風スクリーンが、台風により十四階から地上へ落下した。何度も手直し・点検をするよう求めていたが、南辰は瑕疵がないと言ってこれを拒み続けていた。厚さニミリのアルミ製のとても弱い金具で取り付けられていた。実際に落下した後、南辰は全ての防風スクリーンの金具を強度の強いステンレス製の金具に取り替えていった。防風スクリーンの落下という事実が発生したにもかかわらず、瑕疵がないと言い続け、近隣への賠償にも応じず、結果としてマンション管理組合が全ての賠償に応じた。建築の不手際だけでなく、事故が実際に起きた時の対応も、到底上場会社とは思えないものであった。
平成二十五年九月十六日未明の台風十八号の影響により、十四階廊下に設置された防風スクリーンガラス四枚が落下した。
厚さニミリのアルミ製のとても弱い金具で取り付けられていたため強風によりちぎれてしまった。
・管理人室のぼっとん便所
エントランスホールに異臭がする、と入居者から苦情が来た。よく調べてみると、管理人室に謎のマンホールがあり、開けてみると、なんと、糞尿がたまっていた。トイレは当然水洗式なのだ。すぐ近くまで下水の配管が来ているのだが、接続されておらず、汚水槽が設けられていたのだ。そこがまさにぼっとん便所。駅前の新築マンションでぼっとん便所はない。本当に、南辰は建築会社なのだろうか。なにか意図があったのだろうか。エントランスは、管理人室のすぐ横ですよ。エントランスはマンションの顔ですよ。ここに異臭が漂うというのは、到底考えられない。
・構造スリットの不備
地震時の揺れが生じた際、柱、梁の破壊を防ぐために、その二つに接している壁との隙間をあけるのが構造スリット。その構造スリットが入っていない箇所や不適切に施工されている箇所などが、なんと七十五箇所もあるのだ。南辰は、構造スリットが入っていることを証明するためにドライバーを差し込んでいたが、覚くんが確認すると、ここは、壁の厚みの半分までしかスリットが入っていなかったのだ。当然南辰はそのことを知っていたにもかかわらず、平気で裁判の証拠として提出してきたのだった。すぐに明らかになる事実まで曲げようとする、平気で嘘をつく会社、それが南辰なのだ。
南辰が裁判で提出した構造スリットがあるとの証拠写真だがよく見ると、ドライバーが中途半端に刺さっている。覚くんが調べると構造スリットがきちっと施工されていなかった。つまり下図のような中途半端な施工だった。
構造スリットは壁の半分までしか入っていなかった。
このような瑕疵、建築基準法違反、契約違反を挙げれば、その箇所、千か所以上。あきれるほかはない!!
<得体の知れない第四の図面>
四つの図面のうち、一つは、契約図面。二つ目は建築確認申請図面。三つ目は竣工図。四つ目は、得体の知れない、とんでもない図面だ。
(一)契約図面と確認図面のズレ
あまりに建築がずさんで、金谷所長、マサプランニング社長の態度が不自然だったので、覚くんは、彼らに何か後ろめたいことがあるのではないかと考えざるを得なかった。
平成十九年十二月十四日、まず、南辰とマサプランニングは、建築確認申請機関に確認申請を提出していた。平成二十年六月六日、大覚と南辰は、工事請負契約を締結した。半年前に建築確認申請が提出されていたが、南辰はこの時点で大覚を騙し、すでに何かを企んでいたのだ。この請負契約代金は税込十九億五千三百万円。後に大覚が建築確認申請に添付された図面を精査したところ、杭径が細くなっていたり、鉄筋の本数が減らされていたり、強度の低い生コンが使用されたりして、結果として十七億九千万円しか価値のない建物となっていた。つまり、建築確認申請時点ですでに十七億九千万円しか価値のない建物を建てる段取りをし、詐欺行為を企てていた。その企みを大覚に隠して、一億六千万円の契約違反の詐欺行為をして約十九億五千万円で請負契約を締結したのだ。
エントランスホールが大覚仕様と異なり、あまりに安物の仕様になっていたことから、覚くんは、どのような仕様、図面で建築されたのか心配になった。そこで、契約図面と建築確認申請図面を精査するよう、建築専門家に依頼した。そこで、杭径、鉄筋、生コンの仕様が変更され、建築費用が安くなるよう細工されていたことが明らかになった。杭径、鉄筋、生コンは建築確認申請後に変更することは不可能であるため、実際の建物と建築確認申請の仕様が一致するよう申請しておき、一方で一億六千万円も詐欺する請負契約を大覚と締結していたのだ。計画的に詐欺行為を働いていたのだ。
契約図面と工事請書
契約図面と工事請書。平成二十年六月六日に十九億五千三百万円で締結。押印、記名がある。
確認申請図面。建築確認申請の日付は、平成十九年十二月十四日だった。
(ニ)契約図と竣工図
このマンションの仕様があまりに大覚の通常の仕様と異なっていたことから、覚くんは、「一体どのような建物を建てたのだろう?」と心配になった。そこで、覚くんは南辰に竣工図の提出を求めた。何度も竣工図の提出をもとめたのに、南辰は持ってこなかった。竣工図を通常通り、引き渡しに合わせて提出したら、低い仕様で建築した詐欺行為がばれる為、大覚にかたくなに竣工図の提出を拒んでいたのだ。裁判が始まってから、大覚に、「南辰は建築が完了しているといいますが、そもそも竣工図すら受け取っていません」と主張し、そのことを裁判官が認めて、裁判が南辰に不利に進むことを恐れて、裁判を提起すると同時に、そのタイミングをあらかじめ計画しておいて、竣工図を持ってきたのだ。
覚くんは思った。ここまで、自分に都合のよいタイミングで図面を提出するなんて、裁判慣れしていなければ出来ない。通常であれば、引き渡しと同時に竣工図を提出するものなのに、その後も何度も覚くんが依頼しても竣工図を持ってこなかった。しかし、裁判を提起すると自分に不利益が生じないように、すぐさま持ってきたのだ。それにしても、南辰は、山上町の三千坪の土地や、京都市山科区の三百五十坪の土地、なかなか見つけにくいマンションを差し押さえていた。仮に大覚の建築請負代金を求めるだけなら、ステーションプレイスの五十室を、一室三千万円で売却すればこれだけで十五億円になる。南辰は瑕疵もない、駅前のいいマンションだと言っているのだから、これだけで請負残代金を十分に賄える。瑕疵・スペックダウンを行い価値が低いマンションだということを知っていたからこそ、これ以外の山上町、山科区の土地やその他のマンションを差し押さえて来たのだ。
山上町の土地については、現在、資材置き場の名目で造成工事を進めているが、到底資材置き場とは思えない大掛かりな工事をしている。擁壁も八メートルもあり、通常の住宅・マンションではありえない規模の工事だ。詳細は不明だが、規模、仕様からして大規模な宗教法人ではないかな?と思っている。北海電鉄グループは、宗教法人とのかかわりも深く、強い・・・。
ここで南辰の悪事のトリックを説明しよう。一億円もの詐欺を働いたその手口とは、施主の了解なしにスペックダウンをしたり、工事の勝手な取りやめを行っていたのだ。これは、南辰単独ではできず、マサプランニングを抱き込んで、好き放題なことをした結果なのだ。例えば、法令違反の生コンの使用、生コンの架空伝票を持ってきて架空請求し、その上積み分を生コン業者と山分けしたり、どこに納品されたか分からない生コンもある。南辰とマサプランニングは大津京ステーションプレイスだけでなく、京都でも一緒に九件もの仕事をしており、気心の知れた関係であったのだ。
覚くんがさらに調査を進めると、五百五十箇所もの勝手なスペックダウンや工事の取りやめが見つかった。中には、数千万円の規模から、数十万円単位まで、大から小まで、落とすだけ落とし、抜けるだけ抜いた結果であった。北海電鉄グループの子会社の上場会社南辰、関西一の企業がここまでお金に執着し、お客さんを食い物にするとは、びっくりするばかりだ。世の中の何を信じたらよいのだろう・・・。
通常であれば建物と一緒に引き渡すべき竣工図だが、南辰は裁判を提起するまで出さなかった。
(三)得体の知れない第四の図面
竣工図で発覚した五百五十箇所について、裁判で主張を始めた。するとある日突然、南辰は、裁判所に「最終合意図面」という得体の知れない図面を提出してきた。この内容は、大覚も南辰、マサプランニングも、どの三者の押印もされておらず、記名すらされていない。まったく、誰が合意したかもわからないものだ。かりにも「合意」を証する書面というなら、記名・押印がなければ何の証拠にもならないが、これらが全くない。覚くんもこのとき初めて見る図面だった。南辰は、初めから最後まで嘘ばかりだった。上場企業にも関わらず、あきれるばかりだ。どのような社員がこのような悪事を働いているのだろう。
最終合意図面を精査すると、なんと、確認申請図面とほとんど同じ内容だったのだ。最終合意図面が作成されたのは、平成二十年五月ニ日。つまり、大覚と南辰が請負契約を締結する平成二十年六月六日にはすでに存在していたのだ。これにもかかわらず、契約時には一億六千万円高い別の図面(契約図)で大覚と契約したのだ。まさに詐欺を行っていたのだ。しかも、竣工図は、最終合意図面よりさらに一億円安い建物になっていたのだ。この事実は南辰も認めるべきであるが、南辰は増額ばかり主張している。追加増額金額は千九百五万円、減額が二億六千万円ある。本来であれば二億四千万円の減額になるはずなのに、約ニ千万円の追加増額だけをひたすら主張している。これは詐欺行為だ。こちらから話し合いの場を求めていたにもかかわらず、その提案には一切応じず、詐欺行為がばれるのを恐れ、それを隠すため、先手を打って計画的に裁判を提起してきたのだ。竣工図も出さない、話し合いにも応じないのは、最初から計画的に、瑕疵も含めこの悪事が大覚にばれないように仕組んでいたのだ。
覚くんは考えれば考えるほど、奥の深い、恐ろしい話だと、身が震える思いだ。こんなことを上場会社がするのだろうか。普通に考えれば、こんな話はめちゃくちゃだ。こんな話は世の中通りませんよ、南辰さん。もういい加減にしてくださいね、南辰さん。
裁判で南辰が「最終合意図面」として提出してきた得体の知れない図面(甲第一三三号証)。
「最終合意図面」は覚くんが見たことのない、押印も、記名もないものだった。
<数々の減額、スペックダウン>
(1)鉄筋の本数が減らされていた・・・千五百万円
大津京ステーションプレイスにおいては、契約していた鉄筋の本数が極端に減らされていた。それは、契約していたこの建物の耐力が無くなっており、つまり、地震などに対する強度が著しく低下しており、倒れるかもしれないのだ。大惨事になってからでは遅いのだ。これだけ鉄筋を抜くということは、構造計算においても数字がごまかされており、確認申請もごまかしていたのではないだろうか。あとで触れるが、生コンも杭も契約より強度の劣るものが使用されている。危険な建物になっている。
そのことは、全く覚くんの耳には入っていなかった。つまり、南辰がマサプランニングを抱き込んで、覚くんを騙していたのだ。
契約図では柱中央部に鉄筋があるが、実際の工事に使われた図面では中央部の鉄筋が減らされていることがわかる。
(2)杭・・・千三百万円
契約図面では、杭径二メートルであったが、実際施工されていたのは、一・八メートルと大幅に細くなっている。さらに、杭頭(くいとう:建物の力が一番かかる大切な部分)の鋼管(こうかん)の厚さが薄くなっていた。くわえて、杭の中に入っている鉄筋も一回り細くなっている。杭を構成している生コンの量も少なくなっている。
今回調査した結果、この杭には重大な欠陥があった。それは、支持層に届いていなかったのだ。つまり杭が短かったのだ。裁判で、覚くんが南辰にそのことの説明を求めると、南辰が支持地盤の確認をしていなかったことが明らかになった。
結局、杭が本来の強度を持っていないため、建物が傾く恐れがあり大変危険な状態にあるのだ。危険な建物である。
契約図面では、杭径二メートルであったが、実際の工事に使われた図面では一・八メートルと大幅に細くなっている。
(3)違法なコンクリート・・・六千五百万円
建物の構造上重要な部分には、建築基準法により、JIS規格か大臣認定の生コンを使用するよう定められている。しかしながら、大津京ステーションプレイスにおいては、そのどちらでもなく、まったく品質保証がない生コンが使用されていたのだ。この結果、ひび割れ・ジャンカが多く発生しており、また、レイタンスも多く、品質が劣っていたことは明らかだ。しかも、覚くんだけではなく、役所も騙(だま)して、違法な生コンを使用していたのだ。これほど大掛かりな悪事は、現場監督金谷個人の仕業(しわざ)ではなく、南辰の仕業だと言わざるを得ない。
大津京ステーションプレイスには、JIS規格品と、規格外品の両方が使用されている。
さらに、金谷は、生コン業者に対して架空の請求書を提出させ、三百九十八万円水増しした代金を南辰から生コン業者に振り込ませ、そのうちの百九十五万円を金谷の個人口座に振り込ませていたことも明らかになった。
生コン業者の告発により、架空発注の事実が明るみに出た。
南辰の現場所長の個人口座に生コン会社社長が四十万円を振込んだときの「振込金受取書」
南辰の現場所長の個人口座に生コン会社社長が百五十万円を振込んだときの「振込金受取書」。上の図と合わせて、二度に渡りキャッシュバックを受け取っていた事が確認できる。
約三百立米にも及ぶ生コンの架空伝票も見つかっており、また、どこに運んだか分からない生コンの伝票もある。下請け業者に焼き肉代をせびることもあったり、金谷は、「私が要求すれば、下請けはなんぼでも持ってくる」と殿様気分で豪語していた。
ちなみに、現在の裁判においても、金谷は傍聴しており、どういう意味か不明だが、大覚の社員を睨(にら)みつけている。南辰はいつまで、横領した社員・金谷を雇用し続け、裁判にも傍聴させつづけるのだろう。上場会社としてのモラルが疑われる。南辰は金谷を解雇出来ないような弱みを握られているのかもしれない。
(4)キッチン、レンジフード(換気扇)・・・二千八百万円
大津京ステーションプレイスの住戸にあるキッチンは、本来国内一流メーカー製のはずであったが、きいたことのないアジア製品となっていた。シンク下の扉の模様がそろっておらず、扉自体も波打っている。使用されている金具もマレーシア製であった。レンジフードもがたつきがある非常にお粗末な製品であり、据え付けも乱雑である。キッチンカウンターもおよそ分譲マンションとは思えない、賃貸アパートのようなものであった。
大津京ステーションプレイスに設置のキッチン(上の写真)と、それより以前に大覚の他の分譲マンションで採用している同じメーカーのキッチン(下の写真)を比較すると大津京ステーションプレイスに設置の物(上の写真)は、①扉面材の木目柄が違う。②扉面材の色調が異なる。③木目の向きがヨコ使い(キッチン)とタテ使い(洗面化粧台)とちぐはぐであることが分かる。
大津京ステーションプレイスに設置のキッチン引き出し(左列写真)と、それより以前に大覚の他の分譲マンションで採用しているキッチン引き出し(右列写真)を比較するとキッチン引き出しのレール形状が全く別物であった(下の写真)。大覚の分譲マンションの標準仕様の物(下写真右)は、奥まで引き出せ荷重にも強いエクステンションレールを使用しているが、大津京ステーションプレイスに設置の物(下写真左)は、簡易式のスライドレールで、ホームセンターにも売られている様な安物が使用されていた。
大津京ステーションプレイスに設置のキッチンの引き出し側面に、『Q-FIT』という刻印が入っていた(下に拡大写真)。調べてみたところ、『Q-FIT』はマレーシアの金具メーカーである事がわかった。これにより、このキッチンは、東南アジア製などの部品の組み合わせによる安価な製品である事がわかる。
納入したであろうメーカーに、覚くんが問い合わせたところ、回答は、南辰に聞いてください、とのことだった。真相は明らかになっていない。おそらく、南辰は工事費用を安くあげるために、安い寄せ集めの材料で施工したのであろう。キッチン、扉、カウンター、レンジフード、さらにキッチン以外にも全く統一性のない部屋になっている。このような仕様変更は、通常は設計監理事務所マサプランニングが覚くんの了解を得なければならないのだが、覚くんは全く聞いていなかった。南辰は、大覚から依頼を受けていたマサプランニングまで抱き込んでいたのだ。
覚くんがメーカーに問い合わせたところ、「南辰に聞いてください」という内容の回答が届いた。
いま覚くんが考えると、南辰がこれだけ多くの瑕疵を作るということは、購入者からクレームが発生する種を故意に蒔いていたのだとおもう。そうでなければこんなことはしない。すぐにわかることばかりだ。何のためにこんなことをしたのだろう。これは何かを企んでいたのかな? 南辰は明らかに悪意を持ってこれ以外にも多くの悪の種を蒔いていた。これは、大津京ステーションプレイス問題をきっかけに謀略、陰謀をつかって、この瑕疵問題・スペックダウンの全ての責任を大覚に押し付け、大覚を闇に葬ろうとしていたのではないだろうか。南辰の手先のT社は大津京で何をするために送り込まれてきたのだろう。南辰の手先はT社の他に・・・?
(5)エントランスホールの壁(石張りからタイルに変更)、天井、管理人室・・・五百万円
覚くんが引き渡し前に、足場が外れたことを聞いて、現場を見に行った。すると、設計図面とは全く異なるエントランスホールがあった。一言で言って、貧相。外構のフェンスも安物。外壁が吹きつけだけで、タイルも装飾品も何もなかった。おかしいと思いながら、覚くんがエントランスホールに入ると、天井がマンションではなく、一般の事務所のような仕上がりとなっていた(岩綿吸音板の素地仕上げになっていた)。
エントランスホール天井が契約と異なる事務所のような岩綿吸音板の素地仕上げになっていた。写真は岩綿吸音板の素地仕上げの施工例。
覚くんは南辰にエントランスホール天井の工事をやり直させた(写真は現在のエントランスホール天井)。
それよりも覚くんがびっくりしたのは、マンションの顔である玄関の前に意匠上、到底あり得ない下水・汚水のマンホールの蓋が二つも並んでいたことだ。入口に下水のマンホールを設けるなど、意図的にやらなければ出来ない。常識では到底考えられない。南辰の役員が来ていたので、覚くんが指摘すると、さすがに、マンホールの蓋を入口横にずらした。南辰は、住民にマンホールの蓋を踏んでマンションに入るよう仕向けていたのだ。これがマンションか。素人でもこんなことはしない。大覚をばかにするにも程がある。南辰さん、いい加減にしてください。これは明らかに企みを持っていなければ出来ないことだ。
マンション玄関の前に下水・汚水のマンホールの蓋が二つ並んでいた。嫌がらせとしか思えない(写真は当時の再現イメージ)。
覚くんが南辰の役員に指摘すると、さすがの南辰もマンホールの位置を入口横にずらした(写真は現在のマンション玄関前の状態)。
また、駐車場道路の排水用の溝がなく、小さな枡だけであった。さらに、天井には、すぐにもめくれそうで、落ちたら大けがをするようなタイルが貼られていた。覚くんは、不審に思って、金谷とマサプランニング社長を呼んで、会議をすることにした。その会議では、金谷もマサプランニング社長も、非常に悪い態度であり、金谷は頬杖をついており、覚くんが「施主が話をしているのにそういう態度ですか。エントランスを見せてもらったが全然だめ。ほかもだめだろうから、清算し他のゼネコンに工事してもらう」と覚くんが言うと、金谷は、泣きそうになりながら、「今度はちゃんとやります。最後までやらせてください」と覚くんに懇願したのであった。他のゼネコンが来て、自らの悪事が早く明らかになることを恐れていたのだろう、本当に金谷は必死の表情であった。
覚くんは、このときに南辰と縁を切っておれば、南辰の謀略、策略が早く明らかになり、ここまで悪事が進行することはなかったのかもしれないと悔やんでいる。
その数日後、三〇二号室の入居者様から、雨の日には夜中にすごい大きな音がする、というクレームを受けた。覚くんが見に行くと、三〇二号室の直下にある雨水貯留槽には、本来あるべき配管がなく、六メール下まで滝のように雨水が落下し、轟音を立てていた。これがきっかけで、覚くんは大津京ステーションプレイスを調べ始め、膨大な瑕疵だけではなく、契約違反や現場監督の裏金問題、法令違反が次々と明らかになっていったのだった。
前編はここまでです。後編では、契約違反(瑕疵・手抜き工事・勝手なスペックダウン)、法令違反を全て明らかにします。上場会社である南辰が、設計監理会社のマサプランニングを抱き込んでやったこととは・・・? 南辰が計画した企みとは・・・? 後編にご期待ください。
コメント
読んでいて怒りの感情でいっぱいになりました。
こんなひどい手抜き工事をしている会社があって
そのマンションをだまされて買う人がいるわけで
本当にひどい話です。
南海辰村建設の悪事が裁判で明らかになって
このような手抜き工事の責任者には実刑判決を
喰らわせて欲しいと思います。
しかし、大手マスコミがこの問題をスルーするのは
やっぱりマンションが売れなくなると困るからなんでしょうね。
電通の差し金ですかね。腐った連中ばかりですね。